[振り上げの一撃を阻むは黒の霧。
反射的に散らそうと風を繰るが、それにより、剣の勢いは削がれた。
黒に飲まれた剣の行方を確かめる暇なく、構えを取り直そう、とした矢先]
なんっ……!?
[目の前に現れた嘴と翼。
反射的に動きが止まったのは、魂に刻まれし性故か。
その僅かな隙を鋭き嘴が突く。左の肩から散る、緋色]
……くっ!
[呻くような声を上げつつ、意識を凝らす。
応じて開くは、三対の碧き六翼。
それを羽ばたかせ、風を起こしつつ、後ろへと飛びずさり]
……不覚っ……。
[剣を地面に突き立てて支えとしつつ、短い言葉を吐き出した]