―雑貨屋―
[気遣うように傍に来た娘に、身重の寡婦が微笑んだ。
緑が見つめる青は、翳りも嘆きも薄まってはいたが、
以前のように晴れる事はまだなかった。
荷物の事を問われると、にこと笑み先ずは何も告げずに。
代わりに人形をと問えば、示された欄に顔を近づけた。]
やっぱり可愛いわね、どれも。
[綺麗な人との約束は消えてしまったけれど、
せめて一つ、子の為に持っていこうと
数を減らした人形たちを、目を細めて見た。
以前夫と共にきた時の事を思い出し、
少しだけ陰が増したが、一度目を閉じる事でそれを隠した。]