女の子向けの物が欲しいの。
きっと、女の子が産まれると思うから。
……私の母が、私を産んでくれたみたいに。
[再び開いた目からは濃い翳りは消えて。
どちらをと問われれば、珍しく自身の母親の話を口にして腹を撫でた
夏の始まりよりまた少し大きくなった子は、
相変わらず身じろいでその挙動を母に伝えてくれる。]
ゲルダちゃんが選んでくれると嬉しいな。
[娘にそう頼むと、彼女はなにをえらんでくれたか。
小さな子供の人形を、鞄に詰め込むともう隙間は少しもなくなった。
料金を渡す際も、ちらと視線が荷物に行くのが見て穏やかな笑みを向けていた。]