[母のことを漏らす彼女の声を聞きながら。娘は曖昧に相槌を打つことしかできなかったけれど。それでも村を出ると答えが返れば嗚呼と悟る声。] ――――…一人では、危険じゃないかな せめて麓までは自衛団の誰かに―――[其処まで言い掛けて、はたと貌を上げる何処か訴えかける様な翠の眼差しはイレーネに向けられて。]