─追憶・翼ある友─
……って、なんだよ、これ?
[勝負の対価として差し出されたのは、財布と、小さな木箱。
財布の方はともかく、木箱の方は一体なんなのか、ぱっと見では見当もつかず。
怪訝そうに問うと、相手の男は縮こまりながら、必死の体で説明を始めた。
曰く、この中には高値で取り引きされる鳥の雛が入っており。
財布の中身と、この雛が自分の全財産であるから。
鳥の雛を上手く売り捌いて、掛金に当ててくれ──と。
要約すると、そういう話で]
……って、それが通じるわけ……って、こら、逃げんな!
[突っ込みを入れるより早く、男は箱と財布を押し付けて逃げて行く]