[そうして最後に訪れたのは雑貨屋。
扉の前で一度脚を止め、深呼吸する]
……よし。
[一拍の後に呟き心を決め、その扉を開いた]
───ゲルダ。
[カウンターに立つ女性を呼ぶ声は、2年前のあの時よりは低くなり。
見詰める翡翠は彼女を見下ろす位置にまでなっていた]
あのさ、聞いて欲しい事があるんだ。
[彼女に村を出る話をしたのは夏が訪れる少し前。
1年前から決まっていた話だったのだが、どうしても直前まで言い出せなかった。
あの時の彼女の表情はとても印象に残っている。
告げた後、荷運びの準備もあったためにそれまでよりも逢う時間が減ってしまっていたのは心苦しく、申し訳なかった。
それを埋めるわけではないが、ミハエルはある決意をする]