―金の映す世界―[景色は移ろう。ミハエルの別荘で彼が漆黒の獣を弔った墓。其れが見える場所に座る漆黒の獣は困ったように笑う]――…今までの、礼、ね。[気に掛けていた少年の言葉を繰り返す。礼など感じずに良いと思いながら。其れを伝える術はないからただ紡いだだけ]律儀だな。[自分の墓を見下ろす事になるなど考えた事もなかった。弔ってくれるものの存在があった事に先ず驚いた。感謝という気持ちがあったかは知れない。ただ、意外だっただけだから――]