少しくらいは、君だけのものもあっていいと思うけれどね?
[裂いた一房が散り、風に散らされ舞い上がり地上へ迎えられる。
楽しげな音にはふと笑みを返して]
修練しないとあそこにはなかなか立てないからね。
[稼働間合いを伸ばしたのは力の差を少しは埋める為。
踏み込み蝶の左から繰り出される扇に応じてくるりと曲刀を回し]
鋼を鍛えるには熱が必要だ。
君の一手に、熱を受けられればいいんだけどね。
[扇を身体に斬線を引く前に受け止める]
[受け止める為に動きを止めた右手の代わりに動くのは左手。
無手のままで自身の眼前、同時に蝶の眼前へ振り込み。
握り込んだ拳にきゅるりと巻く水が瞬く間に作り出したのは十字型の短剣。
慈悲の名をも冠する鋭い先端を尽き立てんばかりに頬を狙って]