『ルークス……。双子の……。』
[聞いたことの無い名前に、一度二度と瞬いて覚え。
双子の兄弟と聞けばようやく彼がリヒトを模している理由を知った。
瑠璃の瞳から零れる涙は、感情の波と共にゆっくりと引いてゆき。
深緑の瞳を見上げれば、そこには少しだけ悲しい
――残念だというような色が見えて、
遅かったと、呟くコエに顔を伏せた。]
『ごめんなさい。』
[ぽつりと赤い世界に零れるのは謝罪のコエ。]
『リヒトは……私のせいで死んでしまった。
私が獲物の始末に失敗したから。
狼が村に居るのが知られてしまって……』
[違うと、仕方ないと、リヒトがいれば言っただろう
それでも、兄と弟の再会を阻んだ事が申し訳なくそう告げた。]