[道の最中、幼馴染の幼い時から今に至るまで、
夫やもう一人の幼馴染、
年下の妹たちらの事を交えながら
時に笑いながら、時に悲しげにその兄に語った。
最後の時を語るまで、どれくらいの日を要したか。
腹の子は随分育ってしまい、情が移ったのかルークスも子の誕生を楽しみにしてくれて
それはまるで同胞が戻ってきたようで、一人で無いことが随分と慰めになった。
そうしてようやっと気づく。
夫には与えたものがある。与えられたものもある。
だけどリヒトから、与えてもらうばかりで、
自らは何も与えていなかったという―――*酷く薄情な事実に*]