― 二年後 ―
[其れは突然に、とても唐突に告げられた。二年と云う時の流れは速く、少年を青年へと変えて行くには十分過ぎて。肩を並べていた頃とは違い日に日に逞しく成長する彼には眼を見張るものもあり。傍に居続けて呉れた分を想う故に事実を聞かされた際、ぽかんとくちびるを開けて呆けていた事だろう。]
―――…え、あ、
そ、そう、なんだ……そっか……
…お父さんにそう云われてたのなら仕方ないね
[つい、と翡翠の眼差しから遁れる様に娘は俯き。それきり物想う様に押し黙ってしまっていて。戻って何をするの、かとか、帰ってこられるの?等取り留めのない話をしていただけで終わった。
会えない日々は娘に何処か焦燥感を覚えていた事もあり。引っかかりを覚えながらもやきもきした時を送っていた。ユリアンの父との商談も、何処か上の空気味だったとベッティの耳にも入っている事だろう。
――結局、夏場が近いと云うこともあり、双方忙しくなってしまい。気が付けばミハエルが村を去る日にまで迫ってしまった。]