―――…う、ん
あ、でも来年は来られるんでしょう?
[途惑いの貌を向けながら、未来のことを口にする。
悟られたくないという無意識故か。
其の刹那。]
ふ、ぁ――――…!
[紡がれた言の葉>>1922を前に、手の甲に口接けをおとされる。余りにも突然過ぎた故か、何だか情けない声を上げていた事だろう。青年となった彼の所作は少年の頃と違い、まるで物語の王子様みたいだと錯覚してしまい。]
え、ぁ、……と――――
[頬には紅が刷られ、意識し始めたと喩えていい反応が覗えるか。芽生えた感情は、恋と呼ぶにまだ満たない淡い物だったけれど。]
―――…うん、わたしも……待ってるよ
だから、迎えに来て欲しいな
[熱意に負けたか、勢いかそれとも。娘にとっての青年の存在は、何よりも代えがたい物だったから。照れて俯いたまま、こくりと頷いた。]