[夕暮時。茜色が濃くなる中、玲はまだ家に戻らずにいた。
真新しい墓が幾つも並んでいる。
先日の傷痕は、ここにもハッキリと残っていた]
…綾姉、どうしよう。
私はもう「視れ」ないのに。
[古くからある墓の一つ。だが一等しっかりとした花が飾られている墓標を見つめてポツリと呟く]
そもそも、綾姉みたいにちゃんと力があるわけじゃない。
私は葛木だし…兄さんみたいなしっかりした力も持ってない。
兄さんが戻ってきてくれることになったのは嬉しいけど。
[少しずつ俯いてしまう]
あの時は自分から言ったけれど。
やっぱり、私じゃ無理だよ…。