[そして促されるまま、白銀の影は灰銀の影の傍へと。]ん。『なぁに?』[皆の葬儀を終え辿り着いた我が家。2つの名を呼ばれ、返事をするものの、その聲は届くことはない。困ったような貌をするのは、聲が届かないことだけでなく自分の遺体を見下ろすという状況にもあるか。唯、我ながら穏やかな表情だとは思う。死ぬ瞬間は確かに、満足していたというのに……―――。と、己が肉体だった上に妻の身が跨る。重なる身体と頬は、生前のありし夜を思い出して妻に知られぬまま、密やかに零体の頬は朱に染まった。]