─ 放浪の一幕 ─[父と、妹の如き少女。そして少女の内にいた者たち。今は亡き彼ら以外のコエを聞いた事はなく。放浪の旅路の途中、それらしき音を拾うことはあっても、答えを返す事はしなかった。接する事で抑えられなくなるのが、再び同じ事が起きるのが──怖かった、から]…………。[しばし唇を噛んで黙り込み、それから。月を見上げて、ひとつ、息を吐いた]