─ 何時かの空 ─
[ふわり、ふわり。
死して身体を失った魂は重力すらも干渉しないのか、ゆるゆると空を漂って。
不安定な揺らぎはあるものの、今もまだクロエという個は此処に在る。
それは、幼馴染たちを見守りたいと思う己には都合の良いものではあったけれど─…]
……いつまで、こうして居れるんだろ。
[そう、ぽつり呟いた。
自分が生きている時に視えていた思いは、時が経つにつれ薄れていっていた。
それを考えれば、いつか自分も消えてしまうのだろう。
できるのならば、許されるのならば。
彼女達の最期までこうして見守っていたい、けれど─…
そう、思っている耳に届いたのは、人ならぬ友の声。]