―幾日かの後・何処かの路地裏―[まだらなアスファルトと土、陰日向の織り成すモノクロの色彩。 一際の白を背に負った少女は紅を手に幼子と戯れる]だーめ、これはだめなの。あげないの。[手にした林檎をくれと強請られて追い駆けっこと相成ったのか、 自分より10近く下の子供相手にぱたぱたと駆け回る姿が そこにはあった。 翼はすっかり元の質量を取り戻している。 ひらひらと舞う翼の先をえいや、と掴む男の子。 引っ張られてわわ、と尻餅を着く少女の手から林檎が零れる]