ゼルフィーネは狩りが上手ね。
[光の中で、夫からつけた名を呼んで。
――――最初、まま「ゼルギウス」とつけようとして、
ルークスに流石に止めておけと盛大に反対されたのでこうなったのは余談だ―――
青い小鳥を咥えて戻ってきた仔狼を、人の姿で抱きしめた。
少し、強く抱きしめるのは、居なくなってしまった人の分まで、
精一杯温もりを伝えたかった為。
貴女は沢山の人に愛されて、望まれて産まれたのと
時折口にするけれど、それを示すものは何も残っていなくて
子供は少し窮屈さを訴えて、その姿を人へと変えた。
くすぐったいと、無邪気に微笑む様はあの人にまるでそっくりで。
だからこそ、あの人の幼さが染みるように分る。
娘にその面影が消える事がないように、愛した人を忘れる事はないだろう。]