― 約束から二年後 ―
…不思議なる国を彷徨い、
長き日を夢見て暮らす
つかの間の夢は果てる迄、
金色の夕映えの中、何処までもたゆたえ行かん…
[翠の髪の女性が、長い髪を揺らし。花で溢れかえるミハエルの別荘の、庭の片隅、子供達に物語を読み聞かせていた。頁を捲る手の首に巻かれたリボンが風に揺れる。
兄と慕った彼の眠る場所は時を重ねる度に美しい花で溢れかえり。]
空に写しや汝の姿
鏡の中にありて、また たゆたえ行かん
幻となりとて、我が道を求めん…
[数年の月日を経て、娘は女性らしい体つきとなり。所作にも女らしさが滲んで来たと祖母は口にしていた。時の流れは人を変えて行く物と言うが、娘にとっても例外ではなく。]