[零れた林檎を、別の男の子がさっと攫っていく]
あ――駄目なんだから、人のもの取っちゃ。
もう、アーベルに言いつける――っ。
[精神年齢は似たようなものだろうか。
ぷぅ、と頬を膨らませてふいっと背を向けると
誰のも追いつけない場所へ――宙へと翼を広げる。
拗ねさせた事を知り、下から子供達の呼ぶ声が聞こえるが
お子様な彼女のご機嫌がそうすぐに直るわけはなく]
『レーネお姉ちゃん、行っちゃったよ』
『一人にしたらアーベルお兄ちゃんに叱られちゃうよ?』
『ごめん、ごめんったらー。返すからー!』