[そして村への道が開かれる時。他の訪問者に紛れ、青年は切り立った道を行く。毎年通る道を行く足取りは、もはや慣れたものであった]皆どうしてるかな…。元気だと良いけど。──今年は、特別な年になるし、ね。[脳裏を過るのは逢うを心待ちにする女性の姿。手持ちの荷の中には、いつもは持ち歩かない小箱が一つ。自然表情は綻んで、共に行く者から、嬉しい事でもあったのか、なんて聞かれたり。それには、ちょっとね、と笑みながら曖昧に返すのだった]