─ 放浪の一幕 ─
[困難は承知の上の事だが、それでも、と。
蒼の風を走らせるのは、ただその一念]
『今更でもなんでも、何もしないよりはいいんじゃないかな。
……押し付けられた運命に、流されるだけになるよりは』
[示された、抗う意思>>2167に、右腕に埋めた銀──抵抗の証を軽く、撫でて]
『ん、ああ……確かに。
ここで囚われるのは、ごめん被りたいしね。
俺も、行くよ』
[コエがどこから響くのかは、こちらも感じてはいたから。
それまで月に向けていた蒼と紅の異眸をそちらに向ける。
月のいとし子と呼ばれる者としても異質なそれと、銀の縛。
異端といえば異端の姿は、彼の目にはどう映るのか。
そんな事を考えたのは、ほんの一瞬のことで]