『それでも、この家はお前の家だから 私達の死後も残しておくよう頼んである。 お前にはもっと沢山教えるべき事が あったのかもしれない。 お前が去ってから母さんと色々話をした。 ノーラ、お前には沢山寂しい思いをさせてきた。 どうか許して欲しい。 先逝く私達はお前に何を教えてあげたか 解らないけれど、ただ一つ 言える事は 今まで一度も口にする事はなかった事だが 私達は、ノーラの事を――』[震える唇は、最期の言葉を模る。そっとその文字を指でなぞりながら]