―影輝界・王の座所―
[代替わりしてからはほぼ無人が常のその場には、珍しくも主の姿。
……いや、これが普通のはずです、うん]
「ん……どうした、ヴィオ。
と。おや、これは氷精くん。『鍵の街』以来かな?」
[ヴィオレットに伴われてやって来た二人に、影輝の王はくすり、と笑む。
彼らが来ている理由は、問うまでもなく察していたから]
「ラス、お前も一緒ならちょうど良い。
迷子の保護要請が、機鋼界から来ている。
俺は手が空かないんで、代わりに行ってもらいたいんだが……」
[どうかな? と。
何でもないことのように、さらり]