― 何処かの水場にて ―
[ぱしゃり。緩やかに流れる水を掬い上げる。
濡れた指先が辿るのは布地を捲り上げた腕、其処に盛り上がるように走る一線]
……不便、だなあ。
[蝶との戯れに負った傷は人としては順調に自己治癒が進んでいたけれど。
色濃い肌に白々く残る傷は、跡形も無くとはいけないだろう。
ふ、と小さく吐き出す呼気]
[瞬間、ざわりと乱れた自然に顔を上げる]
[逃げるように飛び立つ鳥。痕跡のように揺れる葉々。
その向こうに、]
――ネッド?
[語尾が問いの形に上がるのは、纏う気配の差。
常と異なる、けれど同じ本質のいろに、戸惑って]