―ちょっと前:ドラゴンズランド/火竜のおうちの近く―
…まだ帰ってないの?
どうして?
[火の竜の相方に、首を傾けながら目をじっとみる。
とがめるような口調にすこしむっとしても可笑しくないだろうに、冷静にそれは自分が知りたい、と言う火竜の相方の言葉を聞いてと黒い睫毛をぱしぱし、としばたいて。
届け物に行ったにはいくらなんでも遅すぎる、と思った。目の前の彼も思っているようだった。
…何かあったらどうしよう、そう思うとなんだかソワソワとした。
ふわりと肩までの黒い髪を揺らして、礼も言わずに走り去る。
耳の下、首の付け根あたりに親指の先ほどの「模様」がちらりと見えただろうか。
早足で歩く。ぐるぐる考える。
誰かに相談したいな、と思ったけれど誰に相談したらいいのかわからない。
でも誰かに相談したい。自分だけでは何も出来ない。
ふと頭をよぎったのは、「友達」と言ってくれた陶芸家の彼女や黒い神父。喫茶店のマスターや白い翼の竜、それから…]