―刹那の夢:いつかの出来事―[麒麟が性ゆえに、必要であれど自らは作れぬものが数多くある。それの一つ…機を織るが為の道具の一つを手に入れに人里へと降りて。囚われしは冬を十数える程前の事][西に在ると言う、一角の獣。そが持つ治癒の力を求めし、老齢の王に囚われ、生きたままに薬とされた記憶は遠く…なれど決して消えることはない][削られし角。流されし血。身から離れれば穢れとなりしそれを、私は舌で清め、身の内へと溜め込む。静かに積もる穢れは澱と成りて、命を削りつ天聖が気を澱ません]