[さらり、と、触れることを赦された髪を手から滑らせ、また掬う。
手遊びのように、梳くように、幾度も繰り返して]
そうだね、凄く難しいんだけど。
……敢えて理由を言うのなら、寂しそうに見えたから、かな。
傍で、それを癒すことができたら、って。
[初めて出会った時の光景。
思い返せば多分、始まりはそれだったのだろうと思いはする。
所詮一目惚れに明確な理由など判りはしないけれど]
[目を伏せ、上げられた表情に、内心で慌てる。
泣かせたかった訳ではない。
苦しませたかった訳でもない。
どうしたら、と思考が回る前に、投げられた問い]