(無垢なる力は、それだけ天秤へと届きやすいですからねぇ)
[笑みの下で廻るのは、こんな思考。
その仔細までは知れずとも、笑みに滲む何かを覚った魔族はまた渋いものを滲ませたやも知れないが、それはさらりと流して]
(……そろそろ、大き目の火種蒔きもしないとですし、ねぇ)
[少しの衝撃で揺らぎそうな中堅国と大国のバランス、それを揺らす術を組み立てながら。
それでも、楽士の見た目は穏やかな笑みの絶えぬまま。
その笑みが神魔の一側面、『魔王の子』としてのそれに近いとは。
多分、この場の誰も知る由無いけれど。*]