[そして彼女は、人間を――父と母を殺した]
[彼等が彼女に害を為した訳ではない。
実の親子であったし、虐待などはなく、両親の仲も良かった。
それに、彼女は両親を、とてもとても、愛していた。
単なる、興味本位。それが一つの理由。
もう一つの理由は、彼女の、独占欲とでも言うべき感情が異常な程に強かった事。
何れ死んでしまう命なら、誰かに殺されてしまうなら、自分の手でやれば、自分だけの物になる。そして、その声は自分のような、特別な存在だけが聴ける。
素晴らしい事だと、思った。思い込んでいた]
[狂気の沙汰]