……で、何の用?
[振り返る事無く、背後の気配へと問う。
蒼き花を持つもの。
広間で刹那向けた視線が疑問を根ざしていたのか、他に理由があるのか。
仔細は知れぬものの、ここまでついてきた彼に向けたのは、翠ではなく、紅の瞳]
ま、俺の方でも用事はあったから。
……好都合では、あるんだけどね。
[く、とわらう。
愉しげな笑みが思わせるものは、ラファールと言う名の銀の獣には知り得ない。
月灯りの昂揚と、蒼き花の香りと。
それらは、普段は動き潜める銀の獣を酷く酔わせていたから。
何か、問われたとしても──答える事はなく。
金の髪の青年は、本能の赴くままに、銀の獣へとその身を、転じた]