[予め予測していた通り、狩りは容易くは行かなかった。
人を呼ばれぬように、と喉を狙い飛び掛るも、中々届かせることはできず。
振るう爪は腕をかするに止まり、こちらも、幾度か刃を受けて銀の毛を散らした。
立ち回るうち、小広場の雪は溶けてぬかるみ、足場が不確かとなり始める]
(……このままじゃ、埒が開かねぇ、か……!)
[そんな苛立ちを示すように唸った後、低い姿勢から足を目掛けて飛び掛る。
それまでは執拗に喉を狙ってた事もあってか、牙は足を捉え、雪の上に引き倒す事はできた。
そのまま圧し掛かり、鼓動刻むものを求めて爪を振るう──それとほぼ同時、繰り出された突きの一撃。
とっさに身を引く事で貫かれるは免れるものの、前脚に浅くない一撃が刻まれる。
怯むは一瞬──銀の獣は低い唸りとともに、再度、爪を繰り出して。
その一撃は、鼓動刻む場所を、捉えた]