ま、さっきも言ったけど。
俺、イロイロと荒事は慣れてるから。
……殺るのは、任せてくれてかまわねぇよ。
[雨音響く階段を上がりつつ、ごく軽い口調で二人に告げる。
この中で一番場慣れしているのが自分なのは察しがついていたから、そう口にするのも自然なこと。
反論があったとしても、だいじょーぶ、とへらりと笑って受け流しながら、先にも訪れた書斎へ。
ノックをすれば、再び開く、扉。
ただ、先ほどとは違い、招き入れる声はないが。
出迎える女主人の笑みは、先と変わらなかった]
……もしかしなくても、お待ちいただいてた?
[緩く首を傾いで、問う。
返されるのは、ただ、微笑だけ。
艶やかで楽しげなそれは、悦びに満ちているようにも、どこか哀しげにも見えた]