―館外・玄関前―
[トビーの首をまず裂いて言葉を奪う、以前にアグレアスがそうしたように。
塞いでいた口から吐き出された血が手を濡らすが気にしない。]
……もらうね……
[胸を刺し貫いて小さな体からその鼓動を取り出す。
トビーの抵抗は段々となくなっていくその身を地面に放り出し、手の中でまだ鼓動を止めぬままに噛り付いた。]
…………(はふぅ
[漏れ出すのは歓喜の声、十数年ぶりの狩りとそれによる獲物の味。
自分の中を巡る色濃い人狼の血が歓喜と狂気を増していく。でも、その狂気に支配されるまでにはまだいたらない。]
あははははっ!アグレアス。
おいしいね、人の味は…最高だよ。
[足元には地面に転がる少年の死体。もう動かない。血が広がり大輪の花のように地面に広がる。
あとはこの体をどうしてやろうか、考えている間に人の気配が近づくのを感じてその場を後にした。]