─ 鳳凰覚醒前/『隔離の陣』内部─
[シャラン……と鳴る、涼しげな音。
声ならざる澄んだ『音』がそれと共に紡がれ、響く。
音と『音』、その源は陣の中央に立つ麒麟の拠り代。
手には銀の錫杖、傍らには翠のちま麒麟。
麒麟の聖具と声、二つの要素で『五音』を紡ぎ、陣の内を安定させてゆく。
陣の外壁は鳳凰の領域故に手をかける事はせず、内側の環境を整える方に力を注ぐ]
「さて、こんな所かしらね」
[陣の内を見回しつつ、のんびりと呟く。
『隔離の陣』の内は実質異空間。
草原やら池やら、挙句森まであるようで。
草原の一画には、古風な造りの建屋。
平屋の内部には、そこだけ妙に現代的な居住空間を備えた個室が用意されていたりする]