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本に埋もれてる時のぼんやりぶりは、ある意味見事だと思うが。
[さらりと言って。
その表情は、すぐに険しくなる]
魔術師殿と、ヴィンセントさんの二人だが。
アーヴァインさんたちは……。
[言いかけた所に、微かに感じる、強い違和感。
ざわつくような感覚が、強くなる]
……話は、後だ! なんか、起きたかも知れん!
[言いつつ、走り出す。伸ばされた手は、それによって空を切るか]
ふふ……ははは!
なるほど、それが貴女の力というわけでしたかレベッカさん。
では、やはり、あなたを先に送らなければならないようですね。
[リックの叫びには、冷たい視線を向ける]
ほう、君に出来るかな?ちびすけくん。
──あぁ、ラッセル君だ。
[《DOLL》の方じゃないのね、と。
返る声に僅か眉を寄せながら、ゆるりと瞬く。]
うん、いるよ。…嬉しく無い事に。
──ラッセル君は、戻れない、の?
[呼びかける声に、小さく苦笑を挟みながら短く答えて。]
ごきげんよう奥様。──私は、慣れてますから。
でもこれ以上私の大切な人たちには、
同じ思い…させたくないですから。
[嘆いてる場合でも、なさそうですしね。
女性の言葉に、ふわりと笑みを零し。]
――邪魔はさせませんよ。
それが主の命、ですから。
[空を切った手を更に伸ばし、追いすがろうとする。冷えた声は届いただろうか。]
魔術師の造り出す氷が、力任せに割れるとでも思っているのか?
ああ、お前は魔術を信じぬのだったかリック。
[笑みを浮かべたまま、リックとレベッカに近付いていく]
……主?
[冷えた声に、思わず足を止めて、振り返る。
ざわつくような感触に、伸ばされた手を振り払おうとしつつ、後ろに飛びずさって]
……どういう意味だ、それは!
駄目よ、リック君。
離れて…。
今度こそ、護らなきゃ…。
[リックとコーネリアスの間に身体をねじこむように前に出た。
リックを包むように手を伸ばし。]
信じるわけがないよ。
おれが信じるのは、ヘンリエッタと、ミスやミズ、あとは見えるもの。
魔術なんていうのは、ただのまやかしだ。
それに、
割れるものは、どうやったって割れるんだからね!
[ふわり気配に引き寄せられたかのように、
ゆらり人をかたちづくるのは揺らめく赤。
けれどそれは、とても頼りなくて、
今にも闇に溶けてしまいそうに。]
……?
[不思議そうに首を傾げる仕草は、
いつもよりさらに幼くて、
そこには恐怖も何もない。]
《DOLL》は、ずっと隠れていたみたいだから。
知らなくても、仕方ないのかも、ね。
[僅かに眉を寄せて、]
私も、少し聞いただけだから…、詳しくは判らないけれど。
…「彼」は、君の身体を手に入れようとしてる。
──急いで、「君」を取り返さないと。
そのままの意味、ですよ。
[“ラッセル”は決して浮かべることの無かった、左右対象の不自然な笑みを湛える。]
――やれやれ。
大人しくしては頂けませんか。
無駄ですよ、レベッカさん。
あなたに見える力は、あなたには退けられない。
そう、こんな力はね。
[レベッカを強い力で押しのけ、リックの腕を掴もうとする]
[コーネリアスの悲しげな表情を見、困ったように一度目を伏せて、まっすぐにその紫紺の目を見た]
でも、助ける為と…
あれは、嘘だったの?
そのままの……ね。
つまりは、君もここの関係者である、と。
[左右対称の不自然な笑みに、低く、呟く]
この状況で大人しくできるようなら……俺はとっくに、彼岸の住人になってるぜ?
[冗談めかして言いつつ、タイミングを計る。
長々と相手をしてはいられない。
なら、どうするか。
肩から提げた鞄の紐を握る手に、力がこもる]
いいえ、嘘ではありませんよ、レベッカさん。
私は、貴女達を助けて差し上げるために来たのですから。
この退屈な、現実から。
…エッタちゃん?
[浮かび上がるように現れた赤の少女の姿に、青を僅かに見開いた。
──ふわりと、少女の近くへと]
大丈夫?…まだ、平気?
[魂の力を失えば失うほど、あの氷柱に引き寄せられやすい。
幼い子なら、尚更。
彼女が此方へ来ることを、自分は止められはしなかったけれど、
せめて吸い寄せられないように。小さな掌を握ろうと]
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