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ま。考えたって解らないし、人間から事も起こせない。
起こる出来事を待ち受け、踊らされるしかないのかもね。
[ユリアンへは、一転、気楽な口調で言った。その内容に沿うものではなかったが。
次いで現れたエーリッヒとユーディットへは、軽く手を挙げて]
や、おふたりさん。
ユーディット、厨房空いてるけど作ってく?
[場に合わない提案をして、くつりと笑んだ]
あ、はい…。
[アーベルの変わらない口調に押されたのか、こくりと頷いて。いつも通りユリアンの隣に座った。
言った通り、店に何時もの賑わいはなく。
その原因のことを思うと少し俯いたが。
ユリアンに名を呼ばれれば、顔を上げ。]
…あの、ね。
[手にはぎゅっと、黒い宝石が握られたまま。]
……ん。
[後から入ってきた気配と力のない声に、そちらを振り返る]
や、どうも。
[挨拶を返しつつ、いつになく力のなく見えるハインリヒの様子に僅かに眉を寄せ]
何か……ありましたか?
[更にやってくる”容疑者”の面々を見れば、座ったままで会釈を返して]
[やや後に注文していたセットが出来上がり、テーブルへと運ばれてきた。
周りの雰囲気を気にすることも無く、料理に手をつけ始める]
どうも、バウムさん。
普段通りにしてていいよ。
この状況で、他の客もそうそう来ないから。
[ハインリヒに告げ、ようやく壁から身を起こすと、何か飲むかと周囲に訊ねる。無論、無料奉仕の心算はさらさらない]
[最悪の末路は、何も言わせず、言わせられずに強制される11人全員の死。
それは、嫌だった。死なせたく、なかった。
それは心からの。]
…見分ける方法があれば、いいんだよね。
[躊躇いがちに見上げて。
一つ息をついて、口を開いた。]
[ミリィと共に居る時はこちらの感覚からどこか離れていて。
まだ自分が人間であるような、そんな錯覚を覚えてもいた]
昨晩は何事もなかった?
[イレーネ、ユリアン、アーベルが集う方に近づき、真面目な顔で問う。
つい、と首を店の奥に向け、]
ブリジットさんも……大丈夫みたいね。
[確認するように呟く。
背後からかけられた低い声には、驚いたように振り返った。]
ハインリヒさん。
ああ、貴方も容疑者……でしたね。
……大丈夫ですか?
[元気がなさそうですが、と言い掛けて、その理由は判りきっていることに思い当たり、飲み込む。]
私、わかるの。
人狼と、そうじゃない人が。
父さんが、私達はそういう事が出来る家系だって。
おしえて、くれて。
「その時が来れば、生者の真実の姿を見抜く目が与えられる」って。
だから。その。
[言いながら、微かに震えていた。
それは緊張の為か、それとも恐怖の為か。
それとも他の何かの為か。]
……。
[オトフリートの手が頭に触れていて、あったかい。
ミリィがにへら、と笑う
少しだけ、このまま時間が止まればいいと思った]
……やっぱ、先生優しいな。
[ぽつりと呟く。
私はこの人を好きになれてよかったと、心から思った。
そして、幸せな一時は終わりを告げ、時計の針は動き始める]
[エーリッヒの言葉を受け止めた後、きょとんとした顔をして]
…さあてな。何が起きてるかはしらねーが。
これから何が起きるかと思うと…な。
[そういいながら苦笑して。ペンでコリコリと頭を掻いた]
[と、アーベルの提案が耳に届き。]
お手伝いが必要なら喜んで。
……と言いたいけど、ええと、いつものお店の味とは大分違ったものができるけどそれでも平気?
[からかわれている(?)ことには気付かず、大真面目な顔で返す。]
やあ、今日は。皆集まってきたようだ。
話し合うとすると丁度良い事だ。そうは思わないかい。
話し合わないとしても悪くはない。
集まっていれば更なる変容は起こり難くなる。
尤も!
異形が理気的な存在と確信できればだが。
[比較的まともといえるかもしれない事を、それでも迂遠さはある話し方で述べてから]
そう、議会には頭が必要だ。
そして――そう、黒き影の本質とはこれの事だったのだよ!
ああ、恐ろしき異形!
[アーベルに向かい、叫ぶように]
[自分のついた嘘に、震えた。
これから欺かねつづけねばならない。
守る為に。疑心の種をまくために。
使えるべき主人の為に。
混沌を。
撒き散らす。]
[宿の扉を開け放つと、開口一番]
やっほー!
みんな元気ー!?
[と、言いながら、手をしゅぴっと上げる]
人狼騒ぎの、容疑者になったからってしけた面してんじゃないわよ?
心だけはハッピーハッピー!
ふさぎこんで、好転するようなことは何も無いんだからね!
…今は座して待つ、か。
仕方ないのかもしれないな。
[アーベルの返答には同意の念を向ける。
事実、今何か為すことが浮かぶわけでもなく。
変化を待つしかない。
隣に座るイレーネを見つめ、紡ごうとする言葉に耳を傾ける]
……イレーネ、それ、本当に……?
[告げられた言葉に、瞳を瞬かせ、驚きの表情が浮かぶ]
[夜が明けて鉱山に行けば、迎えるのは冷たい視線]
…アーベル兄ちゃんの言ってたのは、こういう事だったんだなあ。
[苦笑いをして坑道に向かおうとすれば、親分が手招きをして呼んでいる]
なぁに?
[近寄って話を聞けば、しばらくここにこないでほしいという話。
工夫たちが怖がっているので、仕事にならないと]
……
[親分の顔をじっとみては、一言]
その間の生活費、保証してくれるなら。
[その後しばらくして、数枚の紙幣を片手に、鉱山を去った]
[エーリッヒについてきたであろうユーディットには]
ああ、あのお嬢さんはいつでもあーだな。
むしろ、あのお嬢さんがまともになるよーなら、それこそマジでヤバいんだろな。
俺の方は別段問題ねーが。
[連れていかれた母親の事を思い出すが、口に出しても詮無いことで。色々聞かれるのもわずらわしく]
ま、大した話じゃねえよ。
お前らこそ大丈夫かよ?
[ここまで話して、オーダーを取り出したアーベルに向けて]
今はモノ喰う気にはならねーな…。
とりあえず、煙草ねえか。銘柄はなんでもかまわねえよ。
[胸のポケットから硬貨を取り出しアーベルにひょいと投げる]
……ぐっすり寝たよ。
徹夜した後だったしね。
[ユーディットから向けられた言葉には、返答のような、そうじゃないような言葉を返す]
好きにしていいよ?
なんたって、容疑者相手だから。
[くすくすと、小さく笑みを含んだままにユーディットに言う]
エーリ兄も、食べ慣れた味がいいかなって。
[実際には何方の回数の方が多いかなど、解りきっているが]
……まあ、先の事は、確かに。
[苦笑するハインリヒに返す表情は、やはり苦笑めいて。
ブリジットの声に、ちらり、そちらに視線を向ける]
黒い影……ね。
[呟きと共に。右手でぐ、と左の手を掴む。
その仕種は、半ば、無意識のもの]
お?
[なんか開けた扉に手ごたえがあった。
裏を見てみると、よろめくハインリヒの姿]
……何してんの、おじさん。
あぁ、分かった。
中年特有の、動機息切れってやつでしょ。
駄ー目よー?
若くないんだから、そこらへんのケアはちゃんとしないと。
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