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…――そうですか。
[ヒースクリフの名前の由来について、
「何が」という問いに関しての応えについても、
「それで良い」という言葉に対しても、
全てをその言葉一つで片付けてしまう。
疑問への追及というのは、学者にとって必須なものではある。
男の、他人に対する関心の薄さは致命的にも思われるが、
学問的なものに関しては、追及を揺るがないが故に、
まだ学者として――人に紛れていれているのかもしれない。
そんなことすら、何も感じていない風ではあるのだけれど。]
さて、ギュンターさんの死で、
良い方向に転がると良いのですけどね。
[そして思考の流れを口に出さない学者は、
聴いている者には
酷く飛んでいるように響くだろう言の葉を囁きに乗せた。]
[布団に潜り込んだところで、ゲルダのゆっくりした声が耳に届いて]
飲む…。ありがと、ゲルダねー。
[布団から顔を少しだけ覗かせて手を伸ばす]
ん、お礼はヴィリー兄にね。
あたしは運んだだけだから。
[カヤの手にグラスを握らせながら小さく笑む。
カヤが倒れた後で、自分も倒れたことは告げないまま。]
熱は、どう?
[向けられた言葉と、潜り込む様子に、きょとり、瞬き。
取りあえず、水桶を置いて、一度深呼吸]
何で、そこで謝るかなぁ、もぉ……。
具合、良くなってるなら、いいんよ。
……良かったぁ……。
このまま、起きんかったら、どーしようかと。
[ゲルダから水を受け取る様子を見つつ。
気が抜けたのか、ベッドサイドにぺたり、と座り込んだ]
……。
[気づけば、少女はその場所に背中を向けて走り出していた。
自分は一体何者なんだろうか?
不安は募る。
なんであんな場所に長い間いたような気がしたんだろうか?
不安は募る。
「約束」はいつまで覚えていられるのだろうか?
不安は募る。
私は、ライヒアルトに思い出してもらえるのだろうか?
不安は募る。
私は、みんなに覚えていてもらえるのだろうか?
不安は募る]
……みゅうー!
[カン高い声で叫び、少女は森を抜け出して、ライヒアルトの家に戻ると、割り当てられたベッドへともぐりこんだ]
― 教会前 ―
……ウェンデルさんは、人狼の存在を信じていますか?
[ウェンデルの応えに、少し首をかしげて、
傍に子どもがいると云うのは構わない様子で尋ねる。
彼が少女の安全というのが、
容疑者として何か島民からされるかもしれないことなのか、
人狼の存在を信じていて、その存在から護るということか、
どちらか、はかりしれなかったが故に。]
[座り込んだクロエに心配そうな目を向ける。]
クロエ、そんなとこ座ってたら、身体冷えるよ。
ほら、こっち。
[手を伸ばして、クロエを椅子に座らせようとした。]
やぁん、出て行ったの気付かなかったわぁん。
だいぶ暗くなってきちゃったけど、平気かしらぁ?
ある意味こいがたきとは言えどもぉ。
[くるくるとよく働くリッキーからも、さしたる情報はえられず]
…心配だわぁ。
[ぽつんと、つぶやいて]
だれにもおいかけられないのも、おんなのことしては淋しいものよ?
そういうの、アル先輩は理解してないだろうから、なおさら。
[二人の話から大体の事情は受け取れて]
んとね。熱は、もう無いかな?ちょっとまだ頭痛くてふらつくけど。
ヴィリーが運んでくれたのか…私重いからクロエやゲルダねーじゃ無理だもんね。後でお礼いっとかないとなきゃ。
[軽口を挟んだ後で、ベッドサイドのクロエに]
んや…その、ほら。約束破っちゃったからね。
だから、ごめん。
[布団から抜け出て、ベッドの上に正座して頭を下げた]
[リッキーからお待たせしました、とミルクを渡されると、こちらこそ無理を言ってすまない、と頭を下げ。
ミルクの乗ったトレイを持って、またカヤの部屋へと向かい、ドアをノックして。]
…クロエ、ゲルダ。
ミルクだ。
[カヤが起きているとは知らない為、控えめに声をかけた。]
[ぶち猫は耳をぴくりとさせ薄目を開けた。
ヘルムートの方を見て、尻尾をぱたりと動かした]
……だからそんなんじゃない。
ただの…。
[なんと表現すればいいのか、少し悩む]
ただの…腐れ縁、です。
[悩んだ末がそれとか、酷かった。きっとそこにはユリアンも含まれる。友人という表現は素直に口から出てこない]
呼びやすい名前まで変えなくても。
[必要なさげな悩みに肩を竦めた]
─宿屋・自室─
[ヴェルトを伴ったまま裏口から一度自室と戻り。紙に何かしら文字を書き連ねると、筒状にして小さな容器へと詰める。それをヴェルトの足にある足輪の中へと入れた]
……もしもの時は頼むぜ。
直接謝れねぇのが悔やまれるが。
[言いながら机の上に大人しく立つヴェルトの頭を撫でた。またヴェルトが不安げに鳴いたが、何度か撫でることでそれに応じ。肩に乗せると自室を出て酒場へと戻った]
─宿屋・自室→酒場─
[戻った、と居る者に告げながらカウンターへと入り、ヴェルトを止まり木に降ろす。そしてラム酒の酒瓶の残りと並ぶグラスを見て呆れたように息を吐いた]
随分と飲んだな。
全部ヴィリー持ちになるのか、これは?
[視線は勿論ダーヴィッドの目の前、グラスの列]
[なんだかすごく寒い。
濡れた服を着ているわけでもないのに。
冷たい床の上で横になっているわけでもないのに。
それなのに、昨日なんかよりもずっと寒い気がする]
私は、此処にいてもいいんだよね?
みんなどっかに行ったりしないんだよね?
[言葉に出してみても、それに答えを返してくれる者はいない。
ましてや、人狼騒ぎが起こっている真っ最中のこと。
聞かれていたとしても、それに同意してくれる者は誰もいないかも知れない。それどころか、真っ先に排除されるのかも知れない]
みゅう……。
[小さく口癖を呟き、必死になって丸まっていると、やがて少女を*眠りが誘っていった*]
あ、うん……そだ、ね。
[ゲルダの言葉に、一つ頷く。
伸ばされた手を借りて、椅子に移動しよう、とした所に、カヤから頭を下げられて]
……もぅ。
いいんよ、カヤ、元気になってくれたら、それで。
お茶の約束は、また今度、ね?
そん時は、みんなで一緒に、さ。
[笑いながらこう言って、それから。
座る、というよりは、崩れるように、椅子に座り込んだ]
[カヤの言葉にそっか、と小さく頷き。]
無理しちゃダメだよ。
[カヤに言って聞かせながら、二人のやり取りには口を挟まず。
ヴィリーの声がきこえれば笑みを浮かべ。]
ありがと、ヴィリー兄。
カヤもおきてるよ。
[扉を開けて、中へと通しながら、ほら、とベッドのほうを示した。]
恋敵。
[微妙な顔で繰り返す]
気になるなら探しに行きますか。
ここは…ヴィリーさんと、ダーヴィッドさんにおまかせしておけば大丈夫みたいですし。
[リッキーと遣り取りして戻ってゆくヴィリーを見送り。
部屋の方を見る視線はどこか寂しげだった]
[部屋に入ってきたヴィリーにとっさの事に対応できない。布団の上に土下座した姿のまま顔だけをあげて]
こ、このたびはありがとうございました!
[格好も手伝ってか無駄に間違った丁寧さが発揮された]
―教会前―
[男にはそんな深いことを聞かれた自覚は無かった為に]
は?
……なんだ、急に。
[傍の少女はびくりとして、不安げに双方を見比べるが、男はそれには気付かず眉を寄せる。
子供の前だとかいうのは男もあまり気にしない性質だ]
伝承じゃまことしやかに言われてるし、妙な噂も聞いた。
見たところ自衛団も本気みてぇだ。
……が、俺ぁ実際に目にしたワケじゃねぇし、……分かんねぇな。
[返答は曖昧に終わった]
貴方のそういう寡黙なところは、好ましいね。
[与えるのは、好意的な評価]
僕には真似ができないけど。
確かにどれほど雄弁に話せども、沈黙に敵わないこともある。
[会話が飛ぶのは慣れている]
[久方振りゆえに、多少感覚が戻らないこともあるが]
悪い方向に転がっても、それはそれ、かな。
てか、クロエ大丈夫?私の看病しててうつしちゃったかな?焼き菓子は楽しみだけど、身体壊しちゃいやだよぅ。
[やはり土下座のまま椅子に座った幼馴染を覗き込む]
[ゲルダに扉を開けてもらい、中で身体を起こしているカヤの姿を見ると安心したように微かに笑み]
あぁ、カヤも起きたか。
身体の方は…
…元気そうだな。
[大丈夫か、と問おうとしてカヤからの礼の言葉に動作が止まり、若干ずれた言葉が出た。
礼を言われた事については、気にするなとだけ言い。]
ミルクを、持ってきた。
カヤとゲルダの分もあるから、飲むと良い。
[皆のやり取りをみて小さく笑い。]
あたし、酒場のほうに行っておくね。
[そんなに広くない部屋に人が沢山いるのが窮屈だろうと、ヴィリーが持ってきてくれたミルクをありがとうと受け取って、酒場のほうへと歩き出した。]
親父さんとヴェルトはおかえり。
[呆れ声に気づいて顔を戻す。
その数では負けるが、こちらの前にもグラスは複数。
物問いたげな視線を向けたがこの場で質問することはなく]
あ……ヴィリ兄さん。
何度も、ありがとね。
[ゲルダに通されてやって来たヴィリーに、軽く頭を下げ。
土下座するカヤの様子に、思わず、笑いそうになるものの]
あは……大丈夫、大丈夫。
これでも、ずっと病気知らずのクロエさん、で通ってんだから。
ちょっとそっとじゃ、壊れんよ?
[覗き込みながらの言葉に、軽い口調でこう返した]
― 教会前 ―
[思考の流れを明確にして話さないので、
学者の話が飛び飛びになるのはいつものことである。
故に、相手の反応もいつものことなので、
そこにも頓着した様子は見せない。]
…――なるほど。
私は生物学者の立場からすれば『居ないとは云えない』のですよ。
人が、学者が知っていることなど、この世界の切れ端です。
[曖昧な返事に対して、ひとつ頷いて。]
けれど、個人的には『居ると思ってます』。
私は見たことがありますから。
[見間違いでなければ……等の装飾の言葉はつかない。
まるでそこで見たと云わんばかりに、視線が一度森へ向く。]
容疑者の中に居るかどうかは分かりませんけれど。
――貴方が人狼でないなら、お気をつけて。
[やはり何に対して気をつけるのかは言葉足らずのまま、
注意を促すのだった。]
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