[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
アズマがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……( アズマは村を出ました)
[楚々として立ち、練習室を見回した。
フユの他には誰も居ない。部員は皆、休日を思い思いに過ごしているのだろう。
肺活のみとはいえ、演奏は全身全霊を傾ければそれなりの体力を要する一種の運動だ。僅かに上気した頬を冷ますことなく、フユは練習室の扉を開けた。
そこには、何人かの生徒が盗み聞きの姿勢で硬直していた。幼さの残る面差しを見下ろしてフユは溜め息ひとつ吐くことはなく、だが眉を顰める。
たしか、先日マイコが何とか……そう、確かファンクラブだとか言っていた一年生徒の面々だった。
さっと後ろ手に練習室の扉を閉め、それから一度も彼らを振り返ることなくフユは寮への道を早足で、大股に歩いた。
これだけ苛立った状態で部屋へ戻れば、聡い同室の後輩は何か揶揄の言葉を寄越すだろうか。掲げられた清明寮の名を*見上げた。*]
フユがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……( フユは村を出ました)
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ