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んー、んー…。どれも美味しそうなんだけど。
[まさか、ベアトリーチェが着いてきているとは思わずに。
新しく増えた屋台を、時々立ち止まっては一つ一つ確認していく。
口元が寂しいのか、空腹を紛らわす為なのか。
手に持った小瓶の蓋を開けて、星屑を一口。]
ユリアンにぃー?はろー?
[場に不釣合いな息を吐く見覚えのある青年の姿に、
首を傾げつつもひらりと手を振って]
[てとてと、とてとて。
リディのふらふらにしたがって、
子供もふらふら、屋台を見ている。
きらきら光る、ひかりのしずく。
てとてと、とことこ。
名前を聞いて、前を向いた子供は見た。
ユリアンの姿と、その後ろにしのびよる、ちいさな男の子。
腰の位置にタックルする気だろう、後ろから。
注意するか否か、子供は悩んだ。]
[ああでもない、こうでもない、とイメージを模索していた所に、聞きなれた声で名を呼ばれて我に返る]
……って、ああ。リディか。
今日も、食べ歩きかー?
[振り返り、声の主へと片手を上げて挨拶。
肩の上の相棒も、きゅ、と言いつつそれに習った]
いやもう平気〜。熱下がったし。
[心配そうな母親の制止を振り切って、きらびやかににぎわう祭りの中へ。
それでもやはり寒いのか、もこもこに着膨れていたりする。]
食べ歩き、と言いたいところなのだけどねー?
夕食代わりに何を食べようかと悩んでいるのですよっ
目ぼしい主食になりそうなものは、昨日食べつくしちゃったし!
はーい、ヴィントもこんばんはだよっ♪
ユリアンにぃは、今から何処いくの?………って、わ!?
[金平糖の入った小瓶をからから鳴らしつつ、
肩の上の友人とも挨拶を交わして。
途端、相手の腰目掛けて繰り出されるタックルに驚愕]
……んなっ!?
[いつもなら、簡単に気づきそうなものなのだが。
今日は物思いに囚われていたためか他に理由があるのか。
タックルはまともに決まり、バランスが崩れる。
……一応、転ばなかったのは意地のなせる技か]
ってて……。
[バランスを立て直しつつ、くるり、振り返れば。
施設で顔見知りの少年のしたり顔]
くおら、いきなり何すんだよっ!
[声は怒っているようだけど、表情には、微かな笑み]
[ぼんやりとしていると、屋台の男に声を掛けられる]
……僕か?
[そうだと言うように、男はにこやかな笑み。
どうやら、食べ物を売っているらしい。屋台に並んでいるのは、ランプの灯りを受けて艶やかな光を放つ、赤くて丸い菓子。見る角度によっては、紅玉のようにも見える]
[何かと問えば、りんご飴だという返答が帰って来た]
りんご飴。
[初めて聞いた。興味深そうに、繁々と眺める]
[…ガラスのベルが鳴り、店の主は外に出た]
…綺麗…うん。良かった…
[見れば、ランプは吊されており…祭りの時を待ちわびるかのように淡い光を闇に映していた。
…一年一年、ランプの数は増えていった。
もう、何年も前から、祭りの時にだけ顔を出すランプも珍しくはなかった]
…でも。綺麗な光、放てるなら…
[もそもそ。マフラーの下で呟くと、ふと、マダ始まっていないで店の前で、ランプを見つめる観光客の姿が目に入り…小さく笑みを零すと、光を灯されるのはまだかと待ちわびるランプ達を背に、出店が並ぶ道を歩き出した]
[子供はじぃっと三人を見ている。
男の子はとても満足そうに見えた。
ユリアンも楽しそう。
リディは……いつも楽しそうだけど、
今日はおなかが減っているのかな。
苺を買っていけば喜ばれるかな?
そう思いながら、屋台を考える。]
「へっへーん、勝ったー!」
[何が勝ったのか、男の子はそういって、ユリアンになついている。
子供はその様子にうれしくなった。
頬笑みが灯る。きえない、ともしび。]
あー、アイデア煮詰まったんで、気分転換の散歩がてら、メシ食いに行くかな、って。
[リディの疑問に答えつつ。
タックルしてきた少年を捕まえて]
なぁにが勝った、だこのやろっ!
[首抱え込んでぐりぐりと。勿論力は入ってない。
一しきりそれをやってから、少年を解放し]
男なら、勝つか負けるか二つに一つ、真っ向勝負で向かってこーいっ!
[なんか違う]
[道行く途中で旧友に出会い]
[談笑が終わった頃には、とうに日は落ち灯は点り]
[それでも準備で賑わう通りに惹かれてか、すぐに帰る気はせずに]
[吐き出す息は白かったけれど、そのまま通りを歩いて回ることにした]
[何やら賑やかな、そして、どこかで聞いたことのあるような声を耳にして、少女は夢想の世界から戻って来る。振り向いて、視線を向けた先には、子供達と戯れる職人見習いの青年と、顔見知りの少女の姿]
あ…
[一瞬、声をかけようとして、少女は思いとどまった。流れる空気の暖かさに微笑んで、楽し気に見つめている]
[うきうきと、フレンチドッグの屋台に並ぶ。
ピンクの柔らかいソーセージに串を刺し、ドーナツ生地をつけて揚げたものだ。]
んー、シュガー2本とケチャマスタ5本、ケチャップだけのが1本な。
[一応色々迷惑かけたので、差し入れる気らしい]
えぇ?今年は苺ジャムとチョコソースもあんの?マジで!?
[買おうかどうしようか迷い中]
なーるほどっ!あ、じゃああたしも一緒に着いてっていい?
あたしもお腹空いてるから、ご飯食べたいし。
[疑問系で問いかけるも、本人の中では既についていく気満々らしい。
突然のタックルに一時は驚きつつも、
少年とユリアンのやり取りにけらけらと笑いながらも
そのままユリアンの進行方向へと踵を返せば
こっそり後を着いて来ていた少女の存在に漸く気付いた]
……はれ?ベアちゃんはっけーん!
[男の子はぐりぐりされて笑っている。
子供は面白そうにそれを見る。
ユリアンの言葉に、くぅっとうなった男の子。
やっぱり、面白いと思った。
お決まりの言葉は、やっぱり、
そうだろうと思ったものだった。]
「次は完璧に負かしてやるーーー!」
[負け犬の遠吠えと、子供は思った。
それでも子供の視線を感じたのか、男の子は子供を見る。
そしてにっこりと楽しそうに笑って、
手を振りながら、施設に走る。
子供も右手をぱたぱた振って、]
今日も遅くなるよ。
[聞こえないだろうけれど、言っておいた]
[煌めく赤に魅せられて、一つ、購入して]
[くるくると、それを回して]
[色とりどりの光を受け]
[――と]
[横から聞こえた騒がしい声に、意識が現実に戻る]
……騒がしい。
[ぼそり。]
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