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そう、なかなかに大掛かりな魔術ですよ。
でも、内容は秘密です。
[笑いながら、人差し指を立てて、自分の唇に当てる]
私自身はカードマジックが得意なんですけどね。
それと占いも少々。
[馬車の後方から降る白い花の吹雪に、レンズの下で目を細め]
――これは美しい。
けれど…もっと色とりどりの方が美しいでしょうに。
[言ってから肩を竦め]
まあ、さすがの魔術師殿もそこまでは難しいでしょうかね。
[予算や手間が、と小さく呟いて。
パレードが進むメインストリートの人込みを避けて、裏通りへ]
そうですよね、秘密にしておかないと。
楽しみが、へっちゃいますもんね。
[同じように、人差し指を立てて、口許に当てる。
くすくすと笑いを零して。
ふと、続く言葉に、興味を惹かれたのか僅かに姿勢を正す]
カードマジック、ですか。
占いが出来るって、凄いですね。
[それは、やらないんですか?
緩く首を傾げ、小さく問い]
ええ、そう、占いの方は、ね。
大切な時にしか、出来ないんです。
でもカードマジックはお見せ出来ますよ。
ほら!
[パチン、と指を弾くと、一枚のカードが指の間に挟まれている]
なら、良かった。
通りは人も多いし、気をつけるんだよ?
これ?
うん、さっき落ちて来たんだ。
――嗚呼、そうだ。
[白い花を見つめる少女の頭、結わえられたリボンの辺りに手を伸ばし――]
< ふたつの会話が、わたしの中で行ったり来たり。
でも、何故だか、聞き間違えることはなかった。
目の前の人の声は、町の喧騒に紛れてしまいそうなのに、頭の中の――もしかしたら、心だろうか――聲は、澱みなく聞こえていたから。
それでも、ついつい、答えるほうを間違えてしまいそうにはなるけれど。
それにしても、どうして、急に、聞こえるようになったのだろう?>
< 目はそのひとを見ていたけれど、考え事と、もうひとつの聲とに気を取られていたから、白が移っていくのには気づけなくて。>
それは、──残念だな。
でも、大切な時にしか出来ないなら、しかたないですよね。
[今は見る事が叶わないと告げられて。
ほ、と零した溜息は、言葉とは裏腹に何処か安堵にも似て。
と、突然現れたカードに、わ。と驚いたように目を見開いた。
瞬きする間に、増えていくカード。]
…わ、え。
すごい。どこからでてきたんですかっ?
[わぁ、と楽しげに、小さく歓声を上げて。
指に挟まれた数枚のカードを、マジマジと見つめる]
[鮮やかな赤の中に、
飾られる白の花。]
?
[きょと、
きょとり。
初めは何があったかわからずに、
遅れて、
少女の小さな手が、
青年の大きな手と入れ違い、髪に触れる。]
[道一本だけメインストリートから離れた裏通りを急ぐことなく歩いていく。ひとつ辻を通り過ぎる度に、パレードに賑わいが届く]
なかなか盛況のようですね。――おおっと?
こんな所に骨董店とは珍しい。
[店の中を二つのガラス越しに興味深げに覗きこむ]
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