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ありがとうございます。
では、また。
[ラッセルに別れを告げ、ビラ配りに戻る。全てを配り終えたなら、サーカスの広場へと*戻って行くだろう。*]
よく会う、の?
……やっぱり、仲、いい?
[何故だかじいっと見つめていたけれど、
青年から視線を逸らした少年から
兎型に切られた林檎と、栗とを受け取り、
ありがとう、と小さな声でお礼を述べる。
後からやってきた男にもそれは渡されて、
口の中へと兎は収められていく。]
[先程の自分とは反対に、
青年相手には少年の方が機嫌を損ねたようで、
それが何だかおかしくって、
お礼のことばには違った笑みが含まれたかもしれない]
と、やあ、どうも。
[やって来たヴィンセントにひらり、手を振る。
黒猫も、挨拶するように一声上げて、ゆらりと尾を振った。
それから、空中ブランコに、という言葉に苦笑して]
……ほんとに、好きなんだなあ……。
[天幕へと向かう背に、小さく呟いて]
……仲がいい、って言うのかなあ?
まあ、俺は別に嫌っていないけど、こちらは思う所もあるようで。
[ヘンリエッタの言葉にくすくすと笑いながら言って、それから、天幕の方を見やる]
さて、どうしますか。ここまで来て、帰るのもなんだし……ね。
[誰に言うともなしに呟けば、黒猫がどうしよう、といわんばかりに*一声鳴いた*]
[色とりどりの出し物や人込みに紛れ、見咎められることなく天幕の裏へと滑り込む]
すっかり遅くなってしまいましたね。
さて、本日のメインのメイクはどうしましょうか…。
[飛び切り目立つようにしないといけませんからね、と言いながら
*化粧箱に手をかける*]
あら、同い年なのね?
[嬉しそうに笑う女。単純な喜びか。憧憬か。
それとも隠しこまれた嫉妬だろうか]
――そうね。
おんなじサーカスだったら、つまらないものねえ。
[少女の考えていることなどわかるはずもなくて。
きっと同じでは退屈なのであろうと考えそう返す。
そうしているうちに、娘は店のカウンターに乗りあがり…]
(ふわり、ころころ)
[ニーナの頭の上に、どこから現れたか白いハンカチと、
飴玉が二つぶ、振ってきて]
[青年の回答に、
わかったような、
わからないような、
そんな様子で首を傾げ。
男の去って行った方向へと視線が移る。]
< サーカスの好きな大人、サーカスの嫌いな大人。
大人にも、当たり前だけれど、やっぱりいろいろとあるらしい。
……どちらにしても、奇妙な不安を感じてしまうのだけれど。>
[女性の言葉に、笑みだけを浮かべて曖昧に返す。
少しだけ嘘を吐いている気がして、胸が痛んだ。
同い年だ、と笑う彼女の心中は判らずに、ふわと笑って]
そうですね。ただ、私は人より──…
…──わ。
[何かを言いかけて、ふと、振ってきたハンカチと飴玉に、
驚きにきょとんと瞬いて、上を見上げる。
白で覆われた視界を少しだけずらせば、
上から覗き込む少女の影が、見えて]
…すごい。マジックみたい!
[飴玉を握り締めて、くすくすと笑う。]
――と、
あれ、アーヴァインさ――?
[声を掛けようとするが、自警団長はそれにすら気付かぬ様子でふらふらと去って行く。まるで何かに憑かれたかのよう。]
・・・如何したんだろう。
[くすくすと笑うニーナの笑顔に、娘もふわりと笑って。
彼女の口が、動いたけれど、うっすらとした影にしか見えないニーナには、見えなかったのだろう。その口は、こんなふうに動いていた]
*(よろしくね、ニーナ)*
――成程。
流石は我が主の力。
明日が楽しみなことだ。
なあ、“ラッセル”?
[造られた人形《DOLL》の魂が、身体の持ち主の魂へと語り掛ける。その声にも、自分の行動がそれに操られつつあることにも、彼が気付くことは未だ無いが――]
今日は聞こえたんだね。
主達の声が、お前にも。
そろそろ――入れ替われるかも、知れないね?
[くすくすと愉しげな声は、その主達にも*届くだろうか。*]
ありがと。えと、…シャロちゃん。
[ふわりと雰囲気を纏う相手にお礼を述べた後、
少しだけ言い澱んで──少しだけ考えて、そう呼んだ。
さん付けでは、あまりにも余所余所しい気がするし
…折角同い年ならば、その方が、自分も嬉しい。]
よろしくね?
[少女の告げる言葉が、見えるはずも聞えるはずも無かったけれど、
知ってか知らずか、紡ぐ言葉は少女へと*向けて*]
[その夜のショーは、熱気と共に開演し、熱狂と共に幕を閉じた。幾人かの住人は、常に無い様子で町を歩くアーヴァインの姿を訝しく思ったかもしれないが、サーカスから流れる音楽に紛れて、全ては忘れ去られた……]
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