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[紫星の縄はそのままに、落ちた身体を追って地へと降りる]
……いかせるもんか……アンタには、言いたい事が山ほどあるんだからっ……。
[慣れぬ翼の操りと、力の行使。
疲労が深いが、それを気にする余裕はなく]
結界樹の中で、頭、冷やさせて、やるから、大人しく、しなよねっ!
[切れ切れの声。
それに重ねるように、解放されたラウルがくるる、と鳴いた]
少女 カレンは、烏賊 ラス を投票先に選びました。
苦しみも、辛いことも背負って生きていくと。
オーフェンの答えはそうなのですね。
それならば、何故そんなに空虚なのでしょうか。
どうして、辛いことから逃げようとするのでしょう?
[ その目をじっと見て、もう一度問う。]
もう一度お聞きします。
苦しみから逃れたいわけではないのですね?
[目指す先、煌めく光が見えた。それに照らされた竜胆色の髪も。
そちらへと四翼を強く羽ばたかせつつ、手をそっと握る。
カレンの治癒のお陰でほぼ痛みはない。
いざとなれば、鏃羽根を使うのには十分だった。]
……カレン、疾風を頼む。
[ラスに煌きが絡まるのを眇めた目で見、疾風を抱く手をカレンへ伸ばす。]
まさか。アンタが俺を慰めるなんて、かえって酷いことにしかならない。…そうだろ?
[笑う事を失敗かのように、歪む口許。
奪われた瓶を追うように視線を上げて。
かけられた言葉に息を飲む。それは、明らかな肯定で]
……、なんで。
[その縄が絡めばぐたりとして。
再びその額に汗が浮く。
その長い体を地面に伏せたまま、アヤメを細い目で見上げる。]
…言いたい、事?
[表裏一体の、矛盾の螺旋に心は揺れ。長老たちの前で宣言したエリカの姿を思い出して]
……苦しくて……も……っ、いい……
逃げるのは、もう……終わり……
[暗い深紅の瞳から、一滴の涙が頬を伝い、海へと落ちていく]
ほんとうに情けのない顔だな。
[取り上げた瓶は床へほうる。
音をたてて砕ける硝子。]
――俺が、堕天尸が誰か知っているのが何かおかしいか?
おめでたいな。
[哂った。]
[闇の底、深紫の光が見えた。一緒に、竜胆の髪も。気配は二つ。一つは……一瞬、よく分からなかった。深い深い、何かの気配。もうひとつはよく知っている、これは]
……ラス、と……アヤメっ。
[スティーヴの伸ばす手から疾風を受け取り、光の見えたほうへ近づこうと羽ばたく]
御令嬢 ロザリーは、少女 カレン を能力(襲う)の対象に選びました。
……愚痴とか、相談とか、あるなら聞くからって言ったの……誰さ。
[ぽつり、零れるのは、掠れた呟き]
他に、こんな甘えた話できるの……いないんだから、ねっ……。
[視界がぼやけたのは、気のせいだと。
そう思いながら、小さく続けて]
投票を委任します。
烏賊 ラスは、御令嬢 ロザリー に投票を委任しました。
[ それを聞くと満足そうに微笑んだ。]
そうですか。
オーフェンがそう答えを出したなら。
それを貫き通すのを見せて下さい。
楽しみにしていますよ。
[ そう言って薄い金色の羽根を羽ばたかせる。]
泣くなとはいいませんが。
貴方にはすべきことがあるのではないですか?
[ 左目の色は元のバイオレットに戻っている。]
[アヤメの言葉に、目を細めて、何か言おうと口を開いたが、何か零れるものが見えたならばそのまま口を噤んだ。
漆黒の翼はてらりと光り、その存在を主張している――]
[疾風を渡し、紫紺の二対を大きく広げる。
滑る様にラスとアヤメの方へと。]
―――ラス、アヤメ…!
[抑えた声で、闇がアヤメを襲わぬ様に、その漆黒を睨む。]
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