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逃げて後悔しないってならそれでもいいかもしれないがねェ。
坊は絶対後で後悔しそうに見えるんじゃよなァ。
じゃから、わたしゃ坊が後悔せんでいいよう林檎の森番さん達に代わりに止めたいんじゃよ。
[アーベルの声を聞いて、ぽつりと呟く。
そしてエーリッヒからようやく返った答えに、大きく息を吐いた]
…ほゥら、案の定さね。
わたしゃそんな事になったら哀しむさァ。村の皆もきっとなァ。
そしたら、後悔するのはきっと坊さね。
お前さんは優しすぎる子だから。
青年 アーベルは、研究生 エーリッヒ を投票先に選びました。
投票を委任します。
青年 アーベルは、研究生 エーリッヒ に投票を委任しました。
青年 アーベルは、研究生 エーリッヒ を投票先に選びました。
[皆の言葉は届いているのか、ただ、表情には僅かの困惑。
婆の握る像に視線を注ぐ。
昨晩の事もあって疑い深くなっているのか、揺れているのか、すぐさま飛びつくような真似はしなかったが]
みゅう、仕方ないにゃあ。ほら、半分こにゃ。
[なんだか急に落ち着いた様子で、猫妖精は、妖精さんにパンを半分渡してから、目を逸らしたユリアンと、追いついてきたリディに、ちらと猫の目を向けた]
多分、妖精王は、本物の犯人を捕まえに行ったのにゃ。
だから、待っていればいいと思うにゃ。
守護妖精さんが虹の天使に何を込めたのかはしらないがなァ。
天使が祈るのはきっと、別れじゃなく皆の幸せさね。
[皺だらけの手で握られたそれは虹色の光を隙間から少しだけ零す]
エーリッヒ、お前は本当に虹の天使に別れを願いたいのかい?
[新しいものを築くだとか、後悔だとか、優しいだとか。
答えを返したとして、それは否定ばかりの、頑是無い子供のようなものだったに違いないが。叩かれた衝撃で、完全に封殺された]
……っまえは、何が、したいんだっ
[その言葉を聞いたなら、リディもヨハナの心づくしのパンに手を伸ばしたか]
でも、あの妖精王だから、失敗するかもだけどにゃ!
[それを横目に、ジャムとカスタードに汚れた顔で、くふふ、と笑った猫妖精]
すっきりしたかったに決まってるじゃないか。
だいたいエーリ君はこの世で自分がふしあわせだなんて思ってるの?
しあわせじゃなかったの?
今自分が何を思ってるのかって、口にしてみたらどうなのさ。
[たっぷりの沈黙の後]
……だと良いが。
[全くもって信用していない口振りで呟いた。
半分貰った妖精さんは一発で機嫌が治ったらしく、しっかと両手で抱えてお食事中]
……ほんとに、子供みたいですねぇ。
[エーリッヒと、アーベルの様子に呆れたような呟きをもらし。
それから、ヨハナの手から零れる虹色の光に、紅の瞳を向ける。
肩の鳥がぱささ、と忙しなく羽ばたき、くるる、と鳴いた]
おやまァ、いい音だねェ。
[イイ音立ててはたかれる姿に、婆は目を眇めて前に出る。
握った手を翳すのは、模された妖精の環]
わたしゃそんな事より、お前さんが後悔しない道を願うさね。
別れは悲しいけど人の時は短い分、新たな出会いもある。
出会いがなければ悲しいも無いが、喜びも無いさねェ。
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