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[ライヒアルトの言葉には、うん、と頷いてから
隻眼には、少し呆れたような目を向けて。
ベッティの叫び声に驚いて少し飛びあがった。]
…人形。
[ぽつり、呟く。]
(ふう、思ったよりもお姉さんに割かないといけない人形が多いですね
げに狂人は恐ろしきかな、とっ!?)
[止まったかと思うと今度は下から足元を掬うような吹き上げ
さすがに耐えられず体勢を崩す大人形]
……本当に多様なことで
[苦々しく呟く]
ははははははははっ!!
[今のレナーテに周囲の喧騒は全て消え去っていた。
今、見えるのは、聞こえるのは、眼前に広がる戦闘。ただそれだけ]
―――……。
[その耳に届いたのは、唸り声。吼える声。猛る声。
人形の相手をしながら、声の出所である魔剣に触れると、それは静かに脈動を繰り返し―――]
お前も、暴れたいか?
久しぶりに暴れたいか?
いいぜ。だが、ゲルダを殺したりするのは無しだ。
ゲルダに傷の残るようなのも無しだ。
他の誰かに被害を与えるようなのも無しだ。
それでもいいなら―――目覚めろっ!!
[レナーテが腰の剣に手をかけ……一瞬で抜き放った]
『天から、地』に!
[体勢を崩す大人形の様子に、再度、風へと呼びかける。
吹き上げた風は、今度は大人形を押さえつけるべく下へと圧力をかけるよに流れ。
普段であれば、ここまでの動きは飛ばせない。
それが出来ているのも、下街の呪術師から受け取った制御具のおかげなのだが]
……ちっ……邪魔、すんなっつーの!
[駆け寄る人形たち。
相手にする余裕は、色々な意味で、ないのだが。
切りかかってくるのをぎりぎりで往なしつつ、走る。
小さな煌めきが腕や脚を傷つけるのも構わず、距離を詰める事に専念した]
[その瞬間―――!!]
[どこか近くで稲光と雷光の音が聞こえた気がした]
[否]
[それは、レナーテの魔剣から迸る稲妻]
[剣の柄から一直線に伸びる、ただ一条の稲妻だった]
―――久しぶり。相棒。
師匠ってば凄いのね。
あら、神様を崇めて対価を求めるの?
むしろ逆だと思うけれど……打算的ね。商人みたい。
[隻眼の男に向かって口元を上げると、意識を再び水盤へ]
エルさん、師匠、頑張って……。
……無理はしてないわ?
落ち着いて話を出来ないのが悔しいだけ。
[ハンスに返す口調は普段通り。
表情に焦りが滲むのは、否めないが]
これが終わったら、護身術の一つでも習おうかしら。
くっ!?
[崩れた所を押さえ込まれ、無力化される大人形
そして、人形たちの攻撃に怯むことなく走り寄るアーベルから距離を取ろうとし]
…………うわぁ。あれはちょっと…………拙いかも
[レナーテの抜いた魔剣の一条の稲妻にぽつりとそう呟く
頬を冷たい汗が流れる]
さて。
こっからは本気だぜ。
久しぶりに「剣士レナーテ」としての力をとくと見ろよ!
[レナーテが剣を振るうたびに、バチバチ!と音が鳴り、人形達がショートしていく]
お。
ちゃんと手加減してるね。偉い偉い。
[魔剣に笑みを見せながら、二撃、三撃と次々に剣をふるい続ける]
[耳を劈く雷鳴。
幻聴かと思った。
片目を瞑り、前方へと視線を投げる]
なぁに、あれ……
[呆然としかけたところへ、前線から抜け出た小さなレギオンが一体]
きゃー!?
[思わず蹴り飛ばした。
制御の甘かったらしいそれはあっさり一撃をくらい、
前線でショートしている別の人形へとぶつかった。]
[女剣士が抜き放った剣に初めて身体が動く]
[寄りかかっていた壁から背が離れ]
[隻眸を僅か見開き、剣に魅入るかのように]
─…こいつぁまたとんでもねぇもん持ってやがったな。
滅多にお目にかかれねぇ代物じゃねぇか。
[まじまじと見つめてからまた背を壁に預ける]
[露天商の言葉が聞こえると]
何事も等価交換だと思うが?
神にそれが当てはまらんと言うならそれまでの話だ。
どちらにせよ、神が大嫌いなことに変わりは無い。
[大きい人形相手ではこうもいかなかっただろう]
[同時に殺到されなかったのも幸い]
[一体ずつを相手に出来たから]
っ。
[片方の人形の腰にあたる位置に入った一撃]
[体勢の崩れたそれを先程のように蹴り飛ばす]
それならいい。
[一瞬エルザを振り返る余裕が出来た]
[焦る様子に唇だけで笑い]
[すぐに顔を戻すと剣を構えた人形と三度対峙する]
そんな必要はあって欲しくないけどな!
[理由を言わなかったのは、信頼していなかったからではない。
理由があったところで、罪が赦されるとも思わないし、
何より『死が怖かったから』なんて、下らなすぎるように思えたから]
…。
[水盤を黙って見つめていたローザは、唐突に、はたはたと涙を流しはじめた。あそこで戦ってる人形はきっと、何かしらの物語のヒーローでありヒロインであり、それらをサポートする役者達だったのだろう。悪者だって、最後は皆で並んで大きくお辞儀をするのに。それで沢山の拍手を貰って、満足したふうな演技をしながらゲルダの元へ帰る物なのに。]
レナーテもお師匠もアーベルもお姉さんも、
皆がんばれー!
[閃いた雷光には、ちらりと視線を投げるのみ。
ゲルダがそちらに気を取られているなら、それが、好機]
……ハルフェっ!
[天へと向け、声を上げる。
応じるよに、隼は急降下。
狙うのはゲルダ自身──ではなく、その目の前を掠めるように飛ぶ事での、視覚的なフェイント。
それで隙が生じる事を狙って、ゲルダの足元へ向けてスライディングからの蹴りを放つ]
……いい加減、大人しく、しやがれっ!
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ちなみにショートというが
人形って多分布製か木製
ショートと言うよりも炎上だなぁ(しみじみ
ま、人形素材については一切言及してなかったし
な!?
[もう一度振り返る]
[けれどエルザもしっかり対応していた]
[隙を突くように突きこんでくる剣を避けられたのは幸運]
[左腕を掠められているから間一髪の悪運かもしれない]
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