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[名前を呼んでいるのに、訂正の声もなかった。
何、か、が。
あたたかい赤に指が触れる。
あたたかい。あつい。
ああ、あついんだ。
まっかであつくてあたたかくてあまそうでああなんだろうこれはどうしてこれがあらわになっているんだろうだってこれはほんとうはこんなところにあるはずのものじゃなくてだってたいせつなものだからかくさなきゃいけないんじゃないのそれはいのちの]
わ、たる……?
……え?
[ここから、桜は見えないのに]
なに……。
[桜の方から、何かが伝わってきたような、そんな気がして]
……何か……起きて……る?
[零れ落ちる、呟き。俯いていた視線が、校庭の方へと向けられる]
まあ…そうだな。
[サヤカの言葉には、頷いて]
君も、風邪をひかないうちに…
[着替えた方が、と、言いかけて…]
…………?
[ざわめいた桜の葉音が聞こえたか、それとも風に微かに混じる血の匂いに気付いたか、不審気に眉が顰められる]
……………すっげー。
[たっぷり数十秒、否、分単位の沈黙の後、呟きを零す]
怪談、マジであったんかなー?
…あ、ハルヒにも教えてやろ。
[濡れないようポーチに入れておいた黒携帯を取り出して、
登録していた短縮ダイヤルを押す。
けれど、数コールを終えて返って来たのは、機械的な音声]
――電波の届かないところにあるか、電源を…
[まだ練習中なのだろうか、と思う。
熱心なあの後輩の事だ、ひとりででも残って練習しているだろう]
約束忘れてねぇだろうなー?
[眉を寄せて、拗ねたような声。
携帯を切ってポーチにしまって、再び、桜を見上げる]
[女子寮三階。
フユは、モモの部屋のドアの前に立って、渋面を作っていた。]
[まずは何と言おうか。
『昨日はごめん』 いきなり?
『今日の夕立、凄かったね』 余所余所しい?
結論は出なかった。]
[軽く、ノックを二回。返事を待たずに扉を開けた。
儀礼的にノックをしても、返事を待ってからドアを開けたことなんてこれまで一度も無かった。]
[そよとの音さえ無く、蝉の声すら聞こえない。
部屋の真ん中に、少女が寝そべっていた。
首がおかしな方向を向いていて、床には静かに、血溜まりが出来ていた。
駆け寄って確かめるまでも無く、牧原モモは死んでいた。
生きているという気配が、いや厳密に言えば呼吸音や心音、衣擦れ、血管を血が巡る音、
そういった、耳で捉えられるものから捉えることの出来無いものまで
常日頃、無意識的にフユの聞いていた全ての、モモが発する”音”が絶えていた。]
[モモが生きることによって作り出されていたそれらの音色が好きだったのだと
フユはそのとき初めて気付いたことになる。]
[いまや世界は静寂に包まれていた。]
[去ってゆく女子と、取り残された男子と。リボンから察するに2年だろう。]
[天野の言葉が途切れる間際、ぞくりと背を伝う不快感。]
???
[怪訝な目を天井に向ければ、雫がぽたり、髪を伝い落ちていった。]
なん……だよ、これ……この感じ……。
[掠れた呟きがもれる。
同時に感じる、奇妙な不安。
それは、何を意味しているのか]
……っつ……。
[考えようとした矢先、頭の芯に鈍い痛みが走り、その痛みが更に不安を煽った]
まだ3才だったもんな、お前。…今年はどうする?
「帰るよ。その日だけ」
[相変わらず外を見たままで、会話は続く。
幼い頃に他界した父の命日が近づいていた。]
「あんまり長くいたら、お母さんたちの邪魔になるし」
……たち、って?
「あーほら、やっぱり気づいてない。」
何だよ。
[軽く叩こうと右手を振り下ろすと、友梨は笑いながら逃れようとする。少しだけ昔に戻ったようだった。
――が。
その動きが止まった。]
響子会長?
[ドサリという音に振り返る。
シャツのボタンを留めながら、今まで話していたその人を]
どうしたんですか!?
[倒れ伏したその人の。
風呂上りのはずのシャツはどうして赤い。
どうしてその赤は濃くなってゆく]
な――
[理解が現実に追いつかない。
けれど本能は全身に警鐘を鳴らして。
ひゅぅ、という音を立てて息を吸うと、その場から駆け出した]
[様子のおかしいマコトに気付いて、声をかけようとして…その匂いに気付く。雨上がりの空気を淀ませる、生臭い匂い…]
………
[踵を返し寮内に駆け込むと、その異臭は更に強くなる。やがて、目に入ったのは…緋色の華………]
[心がざわつく、強風を受ける水面のように。]
[2年生らしき男子の言葉が遠く近く聞こえた気がした。]
[思わず、彼女は自分自身を両の手で抱きしめた。]
[数度、頭を振る。
周囲の音は、聞こえない。
ただ、言い知れぬ不安を感じて。
……前にも感じたような、そんな感覚。
それは、錯覚だろうか?]
…………部屋。戻らないと。
[機械的な呟きがこぼれる。
そのまま、ふらふらとした足取りで、三階の自室へ向かう。
あちこちでおき始めている異変には、気づいた様子もなくて]
[廊下を歩いていると声にならない悲鳴が耳に届く。何事かと声の聞こえた共用スペースに顔を出すと]
…………何、これ
[背負っていたバッグを取り落とし呆然と呟く。水分を吸っていたバッグがベチャリという音を立てるのにも気付かず唯目の前の光景を見つめる
そこには背中から血を流し真っ赤になった男の子と彼に抱かれるようにその下敷きになっている少女
彼女の方はフユ先輩にいつも懐いている1年生。たしかタチモリマイコ]
ちょ、大丈夫!?
[そう言って駆け寄る。背後からヒサタカが来ていることにも気付いていない]
[フユは、よろよろと
モモの死体の脇を通り
窓際へ行って、窓を開けた。
風が吹き込んで、血の匂いを散らす。
手すりを掴んだまま、ベランダに膝をついた。]
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