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―集会所入口脇―
[怪訝な顔をする自警団員に構わず、焚き火をはじめる。
持参のダッチオーブンを仕掛け、中に石と、同じく持参したサツマイモを放り込む]
あんたらも、焚き火に当たれば?今日、結構冷えるぜ。
[見張りの自警団員に言いながら楽しげに火をかき立てる。こうして待っていれば、程なく芋が香ばしく焼きあがるだろう]
おやおや、せわしのない子だねえ。近頃の子たちときたら、慌しくっていけないよ。
ククク、まあいいさ。若いうちはたんと無茶をするもんだ。
フフン。なるほど、村では見かけない子だよ。でもあれは見覚えがあるね。
面白いやんちゃ坊主じゃないか。男の子はあのくらい元気がいい。
[ギルバートの背中を見送りながら、記憶の糸をたどっている]
よう。
[今度こそ見知った顔だ。ハーヴェイに声を掛けて、まだ名前を知らないのに気がついた]
オレの来ない間にまた人が増えたみたいだな。
こんばんは
[ギルバートに声をかけられ、微笑って挨拶を返す。]
そうですね、昨日、たくさんの方がいらっしゃいました。
姿を見ただけですけれど。
[そういいながら、相手の名前を知らないことに今更気づく。]
おれは、ハーヴェイといいます。
先日の怪我、大丈夫でしたか?
オレはギルバート。怪我は平気だよ(まあ、自業自得だしな)。うん、サンキュ。
[人が増えた、と聞いて少し表情が暗くなる]
そうか。ってことは『人狼探し』がまた始まるんだな…。
―屋敷・(所謂イストー邸)―
[一巡り、掃除を終え、全てあらい終えた使用済みの雑巾を、屋根で囲まれた物干し場へ吊す。
ネリーの直接の雇い主であるところのこの家の家長、資産家の男は今は居らず、その一人息子は昨日は帰らなかった。]
ミッキー様は…
[何処かほっつき歩いているのだろうか、という考えが自然と、”何か事件に巻き込まれたのでは”というより優先的に思い浮かぶ。
ネリーはまた、白い雑巾をパン、と伸ばして吊す。]
それならよかったです。
[微笑って、しかしその表情を見て、
言葉を聞いて、一度、瞬く]
また、ですか……?
……以前にも、起きたのですか?
[以前にも…と言われ、あいまいに首を振る]
この村で起きたことがあるかどうかは、知らん。だが、オレは余所で人狼騒ぎに巻き込まれたばっかりなんだよ。
あれから何週間もたってないってのに。
[不意に声を大きくして、あえてわざとらしく]
あーあ!オレってばついてないぜ。
[作った明るさで無理やり笑って見せるが、その表情はゆがんでいるかもしれない]
―屋敷・(所謂イストー邸)―
[この家は一人息子さえ居なければ、仕事量は半分以下で済む、ネリーはと思う。
今日はその一人息子も含め住人の殆どが出払って居るから厨房へも火を入れる必要は無く、仕事は簡潔だった。
もし、例の一人息子が不意に帰宅しても暫く場を繋げるだけの、非常食(今日はクッキーだ)を作りはしたが、いざ食べる相手が居ないとなると処分へ困る。
何れ暗くなる前に戻るとは思っていたのだが…]
−集会所・会議室−
[外から流れてくる焼き芋の匂いに鼻をひくひくさせている]
旅人の坊や、あんたには少し懐かしい匂いがするね。
……いやいや、以前に会ったからじゃない。
アンタもしかして、どこかで『狼狩り』に関わったろう。
─嘆き島─
[島の絶壁に腰掛けて、本土の方を眺めている。
風が、一度強くふいた。
ごう、と。
風が號ぶ。
草を巻き込んで、本土へと風は去ってゆく。]
―集会所 前―
[聞いてはいけないことを聞いてしまったというのは分かって、
すまなそうな表情がわずか、浮かぶ]
……大変、でしたね。
[それから、ふと、考え込むように。]
昨日、自警団の方が言っていました。
見つけ出す者が一人。
死者を見分ける者が一人。
人狼の手から守る者が一人。
人狼を知って協力する者が一人。
…そして、人狼が二匹。
おれたちに、投票をしろと、彼は言いました。
女性や子供もいましたけれど。お年寄りの方も。
……しなければ、いけないのでしょうか。
[ふと気づくと、ダッチオーブンの中から香ばしい焼き芋のにおいがし始めている]
焼けたかな。あんた…ハーヴェイ、腹減ってる?
[そう尋ねながらダッチオーブンのふたを開ける。ホクホクとあがってくる甘い香りの湯気]
名前も、顔もわからないひとを、
殺せと。
[呟きは自警団の耳に届いたのだろう。
一人が二人に近づいて、紙を渡す。そこには13人分の名前が載っていた。
これが容疑者の名前だと、その団員は告げた。]
[紙の名前を流し見て、それを畳んだ。
本当は丸めたかったけれど。
芋の良いにおい。
言葉に少し、考える。]
そうですね、美味しそうですし。
歩いたらおなかも減りましたから。
[いただいてもいいですか? と微笑って。]
[外から漏れ聞こえてくる会話に、一人頷いて]
……やっぱりね。そういうことかい。
坊やたちは確かに運が悪いよ。今回の『狼狩り』は、昔話より厄介だ。
こんな話を知っているかい。むかしむかし、狼憑きになりきれなかった人間の話さ……
アーヴァインの坊やは全部を伝えていかなかった。
教えられてないのか、それとも調べる子たちも気付いてないのか。
気をつけな。星が荒れている。
この村に潜んでるのは、ただの『協力者』なんかじゃない。
『3匹目の狼』だからね。
−集会場・会議室−
あ、あれ?ここどこだっけ?
[いつの間にか眠っていて目を覚ましたが寝惚けた頭で記憶が曖昧だ。
周囲を見渡しても未だ思い出さない。]
―集会所・個室―
[ 簡素なベッドの上に身を起こした男は時計を探した。ない。]
腹の減り具合からすると……最後にビスケットを食べてから5時間36分くらいが過ぎたかな? 差し入れったって少なすぎんだよう。明日は今日の5倍は要求しよう、そうしよう。
流石にこれ以上食べなけりゃ死んじまう。
できればこの部屋から出たくなかったんだけどなあ。わけのわからないことに巻き込まれたくねーしよう……。でもしょうがねえよなあ……。
[焼き芋を濡れた新聞紙にくるみ、ハーヴェイに差し出す]
…とりあえず、温かい物でも食えよ。そんな青い顔してないでさ。
しょうがないんだ。他に術はないんだから。
[本当に?と自分でも思う。けれど、自分がそう言い切れば、この青年は楽になれるだろう]
―イストー邸・ネリーの部屋―
[クッキーを(大量に焼いた)半分ほど包んで持ち、仕事報酬の一部としてネリーにあてがわれている自室へ。
ネリーは、あの奇妙な女性(たしかカミ−ラ)へ何か衣服を見繕うと言った事を取り敢えず忘れては居なかった。
何よりあのような格好でいつまでも居られては、少なからず周囲への悪影響だと思うと同時に、彼女の素性には興味が在った]
[彼女もまた容疑者なのだろうか。
考えれば昨夜は馬鹿な事を言ったと思う。
娯楽小説や雑誌の読み過ぎでは無いだろうか。
だって現実に探偵が活躍したという話はついぞ聞かないし。自分ひとりが張り切ったってどうにかなる訳ではない、きっと]
―集会所 前―
ありがとうございます。
[新聞紙に包まれた、熱い芋を受け取る。手は棒を握り締めるため、皮もあついし豆だらけだ。]
ほかに、ないのですか……
[言い切られた言葉に、彼は俯く。そしてそのまま、ゆるゆると手を口に近づけ、一口、芋をかじった。]
婆さんにも持っていこうか。
[扉を開けたとたん、デボラと目が合って瞬きする。3匹目の狼、と聞こえた。
…そいつは、オレの知ってるただの協力者と違うのだろうか。
尋ねようか。一瞬迷って、結局こう言う]
…焼き芋、一緒に食うか?
多分こっちの焚き火のそばのほうが暖かいと思うぜ。
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