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[すたりと着地しながら足元の小石をひとつ手の中に握り締め、ヨウコもそれにあわせて追いかけてくる。]
『嗚呼畜生……人間同士なら、こんな優等生になんて負ける気はしないのに。と言うか眼鏡かけられてちゃアレ使えないじゃない、ったく。』
[彼女らしくない言葉で心の中で毒づきながら、それでも頭の中は妙な冷静さも確かに存在していた。一対一では不利なのは明白。それでも、時間を稼げば、誰かが気づく。気づけば、彼女がそれだとはっきりわかる、と。]
私は、私のままで外に出たいの。
私じゃなきゃ意味がないの。
――化け物なんかと一緒になって出たいなんて思うもんですかっ!!!
[跳躍、そして相変わらず伸ばされた手。嫌悪感を露に叫びながら、更に横へと転がる。]
[その時、風を切る音が聞こえた気がした。]
[投げられた問いに、言葉が詰まる。
『知って』はいる。けれど。
それを口にする事には、微かなためらい]
……人に、憑く前の憑魔であれば……例えば、俺なら。
風の力を借りて、切り払う事もできます、けど。
[それでも、言わないわけにはいかないと。
……逃げないと、決めたからには]
人に、憑いた憑魔を浄化するには……その、拠り代……つまり、心臓を。
司の中に……取り込んで。
残った器は……自然に、還す……。
[それしかないんですよね、と。
呟く声は、小さく、低く]
………そうか。
[ある程度予想していたとはいえ、その言葉の意味するところには、さすがに眉を曇らせて、ため息をつく]
因果なこと、だな……すまなかった。
[言いたくないことを言わせた自覚もあり、静かに一礼する]
ばけもの。
…ひどい。
[傷ついたように顔を歪ませて。
直後、桜の樹に突き立つ矢。
一瞬そちらを振り返り、泣きそうな顔になる]
わたしだってわたしのままでいたかったのに。
たくさんがまんしてきたのに!
[キッと睨む]
わたしもそとにでたいもの。
みとめてほしいもの!!
[それは誰に対する言葉なのか。
横へと逃げるその退路を断とうとスピードを上げて迫る]
[一礼されれば、いいえ、と小さく言いつつ首を横に振り]
……あらかじめ、いっとかないと。
恐らく、そうなった時に、余計に混乱、します、から。
[それでも、返す言葉は、途切れがちになるか]
[フユの言葉に目を白黒させ]
……何、言ってるんです? 私が狙っていたのはヨウコで……!?
[さらにサヤカに襲い掛かろうとするヨウコを目にすると、再び矢を向ける]
……あ……そう、ですね。
[夕飯、と言われて。完全に忘れていたその存在を思い出す。
それからふと、窓の方を見やり。
……微かに、違和感めいたものを外から感じて一つ、瞬く]
[マコトの返答に、すぃ、と向けていた視線を逸らした。
意識はそちらへと向けたまま、再び手元へと視線を落とす。
──認識は、している。
ただ、余りにも実感が沸かないだけで。
緩く瞬いて、小さく溜息を零す。
ふと。 ピリとした感覚が、走った。
昼間にも感じた、あの]
……、外?
[感覚の辿る先に、ぽつりと]
[視界の端、幹に刺さった矢が目に入る。あぁ、誰かが気づいている。なら更に時間を稼げれば誰かが助けにくるはずと信じ、心を奮い立たせる。]
貴女が何を我慢してたかなんて、私の知ったことじゃないわよ。
そもそも、誰だって我慢なんてしてる。
貴女だけじゃない。
[せせら笑うかのように。]
――化け物に化け物といって何が悪いの。
人を食おうとする、それが化け物じゃなくてなんだって言うの。
[言いながら体勢を整え、すぐさま手の中の小石をヨウコの顔めがけて投げつけた。]
[サヤカが圧倒的な対抗手段を持っている様子は無いように見えた。
(嗚呼、ならば更に時間を稼げばきっと仕留められる)]
[フユはウミを制止しようと窓枠に足をかけ、外に身を乗り出しかかっていた。]
だって、……って
はあ?
何なの、それじゃ勘違
いっ……
[足を滑らせ、ウミのに向かって身を乗り出そうとしていたのでその方向へ、フユは窓の外に落ちた。]
[す、と何かが引くような感覚。
何かを越えた。
それが何かは分からなかったけれど]
そう。
それならわたしもしらない。
わたしはわたしのねがいをかなえるの。
[投げられた小石を造作も無く避ける。
そのままサヤカと位置を入れ替えるようにして。
すれ違いざまに桜の樹の方へと突き飛ばそうと腕を振るう]
なんでもいいよ。
それをもらえるなら。
[目を逸らすアズマの様子に、何となく、受け入れ切れていないのかな、とふとそんな事を思う]
『無理、ないか……俺だって、あの事がなかったら……』
[一度、憑魔と遭遇して。
司としての力を暴走させて。
……それでも、受け入れきれずにいるのだから、と。
そんな事を思いつつ。
零れたアズマの呟きに、僅か、表情を険しくして]
……外で……何か……。
[ヒサタカの疑問に答えつつ、感じた違和感の源を辿る]
……この感じ……まさか。
何、…って。
別に、
[意識をそちらに向けていたから、
肝心の、浄化方法を耳にする事は無く]
………こっちは、リョウ。
[返す言葉はいつもより、ずっと端的で、
どこか警戒しているようにも取れるだろうか。
無意識に、2、3歩下がると、扉に背がついた]
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