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きゃっ!
[衝撃波に飛ばされて、床に叩きつけられる。
だが直前でどうにかナイフを持たぬ方の手を介在させて。
ダメージは受けながらも、反動をつけて体勢を整え直す]
だって、そうしないとてにはいらない!
ヨウコは音色みたいになりたかったんだ。
わたしも音色みたいになりたいんだ!
[ケホ、と小さく咳をしつつ、低い体勢で再び距離を詰める。
力の制御には集中力が必要なはず。
それならばとバランスを崩させる為に足を狙って右足を蹴り出す]
私はそんな事を言ってるんじゃないよ。
”これまで”アンタと過ごした中で、
アンタを理解するつもりもとやかく言う気も無かったけど
でもやっぱり何を考えてるか分からなかったっていうだけ。
ひとに理解されるの諦めてるところとか、
自分に似てて結構好きだったけどね。
[矢を目線の高さまで掲げて相手に向けた。
先端から、残っていた血が一滴、滴る。
矢を腰だめに構え直し、負傷した腕は軽く添えた。
床を蹴り、一気に距離を詰める。]
[目の前で起こっている争いの原因を洋亮は知らない。“憑魔”発された言葉の意味も、話を聞いていなかったから分からない。何方にせよ、今それらには興味もない。
同じようにその場に居て、止めようとしない少女を見て。
静かに花を降らす桜を見た。]
[右足1本で支えきれる程のバランス感覚はなく、
前に出る左足とは逆に、身体は後ろへと傾いで]
―――って…、
[手を突く間もなく、地に倒れ込んだ。
背負いっぱなしのリュックのおかげで、尻餅で済んだが。
…さっきもこんな事あったな、などと、暢気に思う]
音色? 音色って……。
[思い当たるのは、もう一人の拠り代。
どこか何故か、馴染みきれなかった長姉を思い起こさせて、そこに苦手意識を感じていた相手。
そう言えば、自分はなんで長姉が、そして彼女が苦手だったのか──と。
一瞬、そんな疑問に囚われたのがまずかったのか]
……くっ!?
[足に向けて放たれた蹴りに気づくのが遅れ、衝撃が態勢を崩す]
……やばっ……。
[同時に崩れた力の均衡、それを正す事に意識を集中したため、そのまま後ろに倒れるものの。
ぎりぎりで制御を取り戻した風で障壁を作り、態勢を整えるための時間を稼ごうと試みる]
……って、わ、ちょ、センパ…っ
[あぁ、やっぱりこけた。と頭の端で思いながら
尻餅をつく相手に向けて、手を差し出そうとして。
パチ、と小さな音を弾く指先に気付けば、躊躇い。
差し出しかけた手を引っ込める。
無言のまま、僅かに眉を寄せて。
そのままパーカーのポケットへ、その手を突っ込んだ]
…、大丈夫ッスか。
[地面に座りこんだままの相手を、見下ろしながら短く問い]
[お互い距離を詰めようと駆け寄る
フユは腕から引き抜いた矢を腰だめに迫る
リーチはこちらのほうが上。なれば、矢を払い落とし最後の虎の子で心臓を穿てば]
あああああぁぁぁぁぁっ!!
[無事な右手一本で竹刀を振り、左手は痛みに耐えて最後の矢を手に取る
右手の竹刀は相手の矢へ、左手の矢は相手の左胸へ]
音色はしってるの。
ツカサもたべたことあるんだって。
[倒れこむ相手にニンマリと笑う]
わたしもツカサをたべたら、ああなれるんだ。
ヨウコがあこがれたすがたに、わたしもなれる!
[そのまま相手に飛び掛ろうとするが、風の層がそれを阻む]
じゃまっ!
[勢いをそのまま返されて、押し戻される。
踏鞴を踏む際に僅か足が絡んで倒れそうになった。
仕方なくもう一歩下がり、相手を睨む]
[衝撃を受けた一瞬には目を瞑りはしたが、
大して勢いがあった訳でもないから、痛みは少ない。
手が差し出されかけて、止められる様子に、
ゆるりと瞬いた]
……………ヘーキ。
[呟くように言って、顔を背け視線を逸らす。
多少は冷静になったのか、バツが悪そうに。]
[下がる相手の様子に、一つ息を吐きつつ、態勢を整える。
焦燥が募るのは、力の制御が上手く行かないことか、それとも、上が気になるからか]
くっ……。
[ふるり、と頭を振り、意識を目の前に集中させる。
止めなければ、という思い。
『司』としてのそれに、今は、意識を向けた]
『司』を喰らった『憑魔』……。
[それが、大きな力を得るのは、『知って』いたから。
ぎり、と。唇をかみ締めて]
……何をどうしようと、自分は自分、他人は他人……。
そうやって、他のものにばかり依存している限り、何も得られは、しないっ!
[叫びつつ、風の刃を二筋、走らせる。
唸りを上げるそれは、薄い三日月を思わせるか]
だって、ほしいんだもの!
あなたはもっているじゃない!
わたしはもってなかったんだもの!!
[それが嬉しいことなのか、それとも哀しいことなのか。
それを判断できるだけの思考は既に無く]
ほしいものにてをのばしてるだけだもの!
[叫びに気を取られていたからか。
迫る三日月を避けることは出来ず、胸のリボンが千切れ飛んだ。
それでもなお、望むものに手を伸ばす為に前に進む]
[横合いから差し挟まれた竹刀を
矢を握った手の甲で打つ。
打って振り上げた矢を、相手の左胸へ。]
[月明かりの中、互いの腕が交差し、]
[ウミの手に握られた矢はフユの左胸へ突き立ち、
流れる血がウミの手に落ちる。]
……ん。…なら、良いッス。
[逸らされる視線に、小さく苦笑を零して。
しかし、近付くことも躊躇われたのか、
ポケットに手を突っ込んだまま、一歩下がり]
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