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……大丈夫だ、今は、落ち着いてる。
[不安げな仔猫を、そっと抱え上げて撫でてやる。穏やかな笑み。今のところ、蒼の花は沈黙を守っている]
……そういや、昨日からなんも食べてないんだよな。
……出るとうるさそうだが、下に何か軽いもの、探しに行くか?
[冗談めかした口調で言いつつ、肩の上に仔猫を乗せ。窓枠から降り、ゆっくりと部屋を出る。
足取りは、だいぶ安定。転ぶ危険は多分なさそう]
[彼は、大きくなった雪玉を転がして、前に作ったスノーマンの隣に並べる]
もうちょっと待っててね、仲間を増やしてあげるから。
そしたら、ひとりぼっちじゃなくなるよ?
[雪に覆われて輪郭の定かでなくなった背の高いスノーマンを見上げて、にこにこと話しかける]
ひとりぼっちは寂しいものね。
[腕を延ばし、ぎゅっとスノーマンに抱きついた途端、上に乗せられていたバケツに積もっていた雪が、ばさりと、彼の頭の上に落ちる]
うわ!つめたっ!!
[雪まみれになってわたわた]
[入り口を潜ると、ブリジットが何やら煮込んでいた。 小動物のよう……猫……いや子犬か? ふと、微笑みを漏らし、奥へと進み声を掛ける。]
おや、君が料理をしてくれているのか。
どうかな、出来は。
[隣に着け、鍋の中身を覗き込む]
─一階・居間─
静か……じゃねえか、全然。
[呟いた矢先、外から聞こえた賑やかな声に、苦笑。
窓辺に寄れば、元気(?)なアーベルの姿が]
……元気だねぇ……。
[思わずこんな呟きが漏れ、仔猫がそれに同意するように尻尾を揺らした]
不格好なゴロゴロとした野菜。
人参もジャガイモも皮がついたまま。
そして水面ににじむ紅いもの。
(?)
[視線を滑らしブリジットのチーズを持つ手先を見ると、数ミリほど切ったようで、血が垂れている]
(平気な顔をしているが痛くないのか?)
[疑問に思いつつ、シルクのハンカチを取り出した]
[ブリジットは振り向いた]
[口にはチーズの粉。チーズも口にくわえている]
……きゅるる
[お腹が鳴って、半分わらったような顔で一歩下がった]
[鍋を覗き込んだザムエルの背にぽつぽつと]
…野菜チーズ…
[大きさがバラバラの野菜達が湯の中で躍り、チーズがドロドロと溶けていた]
[ふつふつと沸騰中]
[味付けは]
[まだない]
[彼は見知った姿に、笑って手を振る]
やっほー!エーリッヒ…じゃなくて!
寝てなきゃダメじゃん!!
[慌てて窓辺に駆け寄ろうと…]
(ズボッ!ズベシャッ!ボフッ!!)
[…して、雪に足を取られてコケた。新雪の上を走るのは危険だ]
[こちらに気づいて手を振るアーベルに呑気に手を振り返そうとして]
あ、おーい、走ると……。
[あぶねぇぞ、と声をかけるより早く。
転んだ。
しかも、埋まった]
……身体はってんな、おい。
[ぽつり、もらした呟きは、何か違うような]
―二階・個室―
[――喉の渇きで、覚醒する]
[寝惚け半分。身支度もきっちり整えないままに、ふらふらと部屋を出て階下へ。ランプだけは、しっかりと手にしているのだが]
[少々危なっかしいが、それでも、とん、とん、とリズムよく階段を降りて、一階へ]
[ザムエルは、やれやれと言った感でブリジットの腕にハンカチを掛け、鍋をもう一度覗き込む。
塊のチーズがゆるゆると和らいで、いい感じに溶けてきて、独特の香りがが立ち上ってきている。
少しだけ、お玉ですくい小皿に移して味をきいてみると……塩味が明らかに足りない。
出汁はチーズや野菜からでるが、このままでは物足りないものになるのは確実だろう。]
[じたじたじたじた!彼は雪の中でもがいた、そりゃもうもがいた。腕を上下に振ると、その部分の雪がかき分けられて蝶の羽根のような痕跡を残す。それを「雪の妖精」と、とある国では呼ぶらしいが、この状況には無関係だ]
ぶはっ!
[ようやく手をついて顔を上げる。先に思いつけと言うツッコミは勿論無視だ]
うん、まだ生きてるー
[へろと笑ってエーリッヒの顔を見上げながら、くしゅん、とクシャミ一発]
[塩とおぼしき容器を開け中の白い粉を摘み、舐めてみる……。
甘い……。
ならば、こちらかと、隣の容器を見るとそれが塩だった。
目分量で適量を投入する。]
こんなものだな……あとは胡椒か。
―一階・居間―
[開かれた窓から、冷たい空気が吹き込む。くしゃみ一つ]
…………寒い……
[挨拶よりも先に出るのは、その台詞。]
[少々間を置いて、]
……おはよう………
まあ、あれで死んだらある意味凄いが。
[元気だな、と思いつつ、さらっとした口調で言って]
とはいえ、そのままだと確実に風引きだろ?
中に入ってあったまるのを勧めるが、俺は。
[呆れたような言葉に同意するように、仔猫が尻尾をゆらりと]
んー…、…まあ……?
…喉、………渇いた……
[寝癖がついているらしく、ぼさぼさの髪はいつもより跳ねている]
[瞼と瞼がくっつきそうな勢いだが、そのまま厨房へと歩んで。
料理中の香り。人がいるのが、ちらと見えた]
…………おはよう…
[一応、挨拶をしつつ、とりあえず、カップ一杯に牛乳を注ぐ]
[彼は、漸く立ち上がり、ばさばさと身体中から雪を払う。中に入れというエーリッヒの言葉を聞くと曖昧な顔で頷いた]
ああ、うん、そうだね。風邪ひいちゃうと迷惑だよね。
[振り返って、作りかけのスノーマンの土台を見る]
ザムエル…光ってる…きれい…
気持ちいい
[シルクの手触りに驚いているようだった]
[調理作業をしているザムエルを見上げている]
―二階・個室―
[外の騒がしさにか、眠りの淵から呼び戻される。
寝惚けた目を擦っても視界はなかなかはっきりとせず]
…眠ぃ。
[寧ろ寝すぎで眠いのではなかろうか。
そんなことを考えられはしない頭を掻き起き上がる]
[床に散らばる木屑を蹴り飛ばしたことも気に留めず、適当に頭に布を巻いて寝癖を押さえ付け。
相変わらず目を擦りながら階下へと降りていく]
[隣にあった、ペッパーミルを手に取り、ざしゅりと音を立て削り出す。
黄身じみた白さのチーズの膜の上に黒い点々が現れる。
数度、その胴を捻り、元の場所へとそっと置いた。]
やはり、その場で碾いた方が香りが立つな。
[何でもないことなのに、すこしだけ満足そうな様子だ]
また、後で、ね…
[小さく小さく呟いて、彼は今度は慎重に集会所に向かって歩き出す]
エーリッヒも、いつまでもそんなとこに立ってると風邪ひいちゃうよ!
[やっぱり言わずにはいられなかったようだ]
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